最高の応援を届ける 市高吹奏楽部も練習中

第91回選抜高校野球大会が23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で始まる。開幕試合に登場する市立和歌山には、オリジナルの応援ソングで選手たちを後押しする頼もしい吹奏楽部の存在がある。甲子園での演奏を夢見て練習を続けてきた部員たちは「最高の応援を届ける」と張り切っている。

「そーれチャンスだ市高」――。同校のチャンステーマ「レッツゴー市高」が流れると応援席が活気づく。校名が市立和歌山商だった1990年ごろから受け継がれる伝統の曲だ。現在は全部で7曲の応援歌があり、全てオリジナル。3年ぶりの出場となる選抜大会に向け、2月上旬から練習を重ねてきた。

部員は1、2年生計16人。昨年8月の県吹奏楽コンクールで金賞を受賞している実力校だが、平日は定時制の授業が始まる午後4時50分までに練習を切り上げなければいけないため、20~30分しか練習時間を確保できない日が多く、昨年3月までは毎日指導する顧問もいなかったという。

昨年4月に顧問となった英語科の岩田奈穂教諭(24)は、星林高OGで10年以上吹奏楽の経験があり、高校時代は米国に留学してジャズやマーチングなどを学んだ。部員とは年齢が近いこともあり、コミュニケーションも活発で、練習中に演奏で気になる点があるとタクトを手に「今よりも低い音を出そうね」「もう1回やってみようか」などと小まめに声を掛けている。

部員のうち半数の8人は入学まで吹奏楽の経験がなく、トロンボーンを担当する下絵図真紀さん(2年)は「最初の数カ月はとにかく音を出すのがやっとだった」と振り返る。下絵図さんは甲子園での演奏に憧れて市高を志望。部長でピッコロを担当する片井小夏さん(2年)も「昔から高校野球を見るのが好き」。2人は昨夏の甲子園で入場行進のマーチング隊の一員に加わって演奏し、圧倒するような甲子園の広さや観衆の多さに「思わず鳥肌が立った」という。

片井さんは4番打者の柏山崇外野手や1番を任される山野雄也内野手と同じクラス。「野球部は授業中も元気が良く、クラスのムードメーカー。15日の組み合わせ抽選会当日は『めっちゃ緊張するわ』と言っていました」と選手たちの素顔を語る。

試合の序盤や攻撃開始時に演奏する曲として、今大会から新曲「Next31」を導入。「次の打者につなげる」「平成から次へ」の意味合いを込めたアップテンポな曲となっている。開幕戦の演奏にはOB・OG部員も参加し、星林高吹奏楽部約40人も友情応援に駆け付ける。

片井さんは「開会式もアルプスで見られるのでうれしい。岩田先生が市高に来てくれて練習のレベルも高くなった。野球部に私たちの思いを込めた最高の応援を届けたい」と意気込んでいる。

岩田教諭㊨の指揮で練習する部員ら

岩田教諭㊨の指揮で練習する部員ら

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