玄米食で認知症予防 東洋ライスと東北大が検証へ

東洋ライス㈱(東京本社=中央区銀座、和歌山本社=和歌山県和歌山市黒田、雜賀慶二社長)と東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター(仙台市、川島隆太センター長)は、玄米食が認知症予防に役立つかどうかの研究を共同で行うことを決定。2020年から21年にかけてデータ収集や解析を行い、玄米食を一定期間続けた高齢者とそうでない人の、記憶や思考力などの高次認知機能にみられる差異を検証する。

玄米は糠(ぬか)成分を取り除いていない米のこと。先行研究で行った動物実験で、糠に含まれるガンマオリザノールという成分が認知機能の維持に有効であることが確認されていることから、今回の共同研究は「玄米食を続けると記憶する、考える、注意する、話すなどの高次認知機能を維持できるのではないか」との仮説を立てて行い、認知症予防に役立つ知見を得ることを目指す。

検証は関東や東北地方の高齢者向けの各施設で70代前後の人、約200人を対象に行い、施設利用者の一部に半年間にわたり週4回以上、昼食に玄米を食べてもらい、事前事後に行う認知機能検査にみられる差異は、白米を食べた人を対照群として解析する。玄米は同社が2015年に開発した「金芽ロウカット玄米」を使用する。

「ロウ」とは種子としての米が外界から身を守る役目を果たす防水性の高い層のこと。「金芽ロウカット玄米」は同社独自の技術でこのロウ層を均一に取り除くことに成功し、通常玄米と同じくらいの栄養価がある上、消化しやすく白米と同じように食べることができる。

医療機関等からも注目され、聖路加国際病院(東京都)では入院患者の食事に提供、シンガポールでは政府が国民に摂取を推奨している。

共同研究の記者会見は、東京會舘(千代田区)で開かれ、雜賀社長(85)と同大学内に新設された栄養認知健康脳共同研究部門の瀧靖之部門長(48)が解説した。

瀧部門長は、同大学加齢医学研究所教授も務めており、日本人の平均寿命が男女ともに80代を超えているのに対し、健康寿命は70代にとどまっていると指摘。「2050年には日本人全体の約10人に1人が認知症患者との試算もあり、誰もが実行しやすい予防習慣の提案は急務」と強調し、今回の研究でエビデンス(証拠)が得られれば「食文化でもある米食の米を『ロウカット玄米』に変更するだけの予防法は誰もが取り組みやすいのでは」と話した。

雜賀社長は自身が約4年間にわたりロウカット玄米を摂取する中で、糖尿病や水虫などの疾患が現れなくなり、認知機能検査では結果の向上もみられていることを紹介。「消費者からも、便秘の解消など体の不具合の改善効果の報告はこれまでにもあった。認知症については東北大学の報告に期待し、ロウカット玄米食が医療費削減という国益にも貢献できたらうれしい」と力を込めた。

握手を交わす雜賀社長㊧と瀧部門長

握手を交わす雜賀社長㊧と瀧部門長

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