家族農業で持続可能に 県プラットホーム設立へ

農業、林業、漁業といった一次産業の持続可能な社会を目指す「家族農林漁業支援プラットフォーム・和歌山」設立に向けた学習会が22日、和歌山県紀の川市粉河の粉河ふるさとセンターで開かれた。愛知学院大学の関根佳恵准教授が「持続可能なくらし 農と食」の演題で国連の報告書と家族農業について講演し、農業関係者を中心に林業、漁業、消費者146人が参加した。

飢餓撲滅と食料安全保障に大きな役割を果たす家族農業の施策を進めるため、国連で採択された「家族農業の10年」に基づき、ことし6月に「家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン」(代表=村上真平全国愛農会会長)が発足。和歌山は全国初の県単位の活動主体となることを目指している。

関根准教授は機械化や農薬の使用で大量生産が可能になった一方、食の安全面や農村の過疎化などのデメリットも大きく、また貿易自由化が小規模農業の経営難や高齢化につながったと近代農業の影響を説明。持続可能な社会に移行するために家族農業が鍵になるとした。

これからの家族農業については生態系を守りながら、その営みの力を借りるアグロエコロジーとともに進めていくことが必要とした。日本は食と農の情報不足が問題となる一方、地産地消や世界農業遺産の認定数が世界2位であるなどアグロエコロジー先進国でもあり、「農家と民間企業、政府までそれぞれ専門を生かした政策対話をしてもらい、農業・食料政策の中心に家族農業を位置づけていかなくてはならない」と話した。

また、和歌山のプラットフォームについて全国第1号として心強い存在だと期待を寄せ「まずはプラットフォームの存在を知り、どういう流れで持続可能な社会に取り組むのかを知ってもらいたい」と訴えた。

プラットフォーム・和歌山はことし10月ごろに設立総会を実施予定。

農業の持続について講演する関根准教授

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