犯罪被害者を支える 条例機に現状理解訴え

 4月1日に施行された「和歌山県犯罪被害者等支援条例」。犯罪の被害者や遺族らを心理的、経済的に支援する具体的な施策が盛り込まれている。約20年、犯罪被害者の支援を続けてきた和歌山市雑賀屋町の公益社団法人「紀の国被害者支援センター」の淺利武事務局長(71)は「条例の施行を機に、犯罪や交通事故などの被害に遭われた人々の状況を正しく知ってもらい、県内にも被害者を支援する団体があることを知ってほしい」と訴える。

 同センターは民間の被害者支援団体として1997年に全国で6番目に任意団体として設立。2010年に公益社団法人に認定され、11年には県公安委員会から被害者支援を適切かつ確実に行うことができる営利を目的としない法人として「犯罪被害者等早期援助団体」に指定された。現在は「支援活動員養成研修」を修了後、さらに講習を受けるなど専門的な技術と知識を持った支援員25人が従事している。

 同センターが行うのは、相談無料・秘密厳守の電話・面接といった相談事業の他、病院や裁判所などへの付き添いを行う直接的支援、自助グループへの支援。

 被害者の置かれている状況や支援の必要性を知ってもらおうと、チラシを配る街頭啓発や中高生を対象にした授業、県内各地に足を運ぶ出前授業、支援員の養成や向上にも努めている。

 昨年は計600件の相談が寄せられ、行政や弁護士、臨床心理士などの専門家と連携しながらニーズに応じたきめ細やかな支援に取り組んでいる。

 犯罪被害者支援に特化した条例の制定は、県内では上富田町のみ。今回の県犯罪被害者等支援条例の施行により各市町村の条例化と犯罪被害者への理解、支援の拡大が期待される。淺利事務局長は「各市町村には犯罪被害者に特化した条例をぜひ作ってもらい、役場が窓口になって連携しながらチームとなって、より手厚い支援することが大事」と話している。

 同センター相談専用電話(℡073・427・1000=月~金曜午前10時~午後4時、土曜は午後1時~4時(日祝日・12月29~1月3日を除く)。時間外は全国共通ナビダイヤル(℡0570・783・554=午前7時半~午後10時、12月29日~1月3日を除く)。

犯罪被害支援の重要性を訴える淺利事務局長

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