「なぜ直前」 突然の断水発表に市民混乱

「なぜ今になって」「急過ぎる」――。和歌山県和歌山市の突然の断水実施の発表を受け、対象地域の住民に困惑が広がった。中心市街地を含むエリアでは影響も大きく、飲食店の中には早々に休業を決める店舗も。スーパーやホームセンターなどには水やポリタンクなどを買い求める人の長い列ができ、19日の断水開始に備える動きが広がっている。

市保健所の担当者によると、医療機関への水の供給については「対象となる病院には毎日給水車が出動して給水を行う」という。同保健所によると、市内37病院のうち9病院が対象。クリニックや診療所などを対象に保健所で給水袋を配布しており、状況によっては医療機関を対象に保健所で水道水を供給することも検討しているという。同保健所は「ご不自由をできるだけ少なくするために、われわれができる最大限の努力をしたい」と話している。

市内のドラッグストアなどには、水を買い求める人が殺到。17日午前、ある店舗の店員は商品が売り切れ、がらんとしたコーナーを前に「見ての通りの状況。きょう入ってきた水もすぐに売れた」と話した。入荷を尋ねる客に対し、「どうなるか分からない」と答えていた。

来店した岡崎地区に住む公務員の女性(42)は「最近は台風や地震など災害が多いので2㍑のペットボトルの水を自宅にいくつか常備していますが、ペットも飼っているので水が足りるか心配。16日の夕方に断水があることを知り、夜に近くのスーパーへ水を買いに行ったが売り切れていて買えませんでした。きょうは水を買いに遠くのスーパーやドラッグストアを回ろうと思う。今のうちに水道水をためておきたい」と話していた。

一方で、断水開始3日前という市の突然の発表に、市民からは不満の声も上がる。大新地区に住む20代の会社員の女性は、家族からのメールで断水を知ったといい「こんな直前に言われても」と困惑の表情。「ホームページを見られない高齢者など、知らない人もたくさんいるのでは。家にいても風呂やトイレが使えないので、勤務先の周辺で宿泊できる場所を探したい」と話していた。

市がホームページ上で発表した地図の分かりづらさを問題視する声も。鳴神団地に住む女性(77)は、地図を見て自身の住まいが対象地域ではないと判断したが、念のため市に問い合わせたところ、対象地域だと説明を受けたという。女性は「17日に自治会から対象外と知らされたが、該当地域にはインターネットでの発表に先駆けて、せめて広報車で呼び掛けるべきでは」と不満を漏らした。

水の売り切れを知らせる貼り紙

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和歌山市から対象地域の世帯に届いた通知

和歌山市から対象地域の世帯に届いた通知

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