紀州高野組子細工の継承を 池田さんが作品展
江戸時代から続く「紀州高野組子細工」の七代目工芸師・池田秀峯(しゅうほう)さん(73)=橋本市=による展覧会が8日まで、和歌山県和歌山市本町のフォルテワジマ2階で開かれている。
ポスターを含め作品約20点を展示。組子細工はくぎや金具を使わず、細かくひき割った木材を手作業で組み上げ、幾何学模様を編み出す伝統技法。江戸時代に高野山の寺院復興のために京都から呼ばれた腕利きの組子職人が伝えた技術が発展し、紀州高野組子細工となった。
現在、この伝統技法を継承するのは池田さんのみ。池田さんはマツやモミ、スギなどの高野六木を使い、受け継いだ技の精密さを追求してきた。幾何学模様だけでなく、山形や波状表現の「きのくに・ちぎれはめ込め技法」を考案。皇室にも多数の作品を献上している。
しかし、2016年5月に隣家の類焼で工房が全焼。道具や材料、保管していた数百点の作品全てが焼失する災難に見舞われた。
伝統工芸を何とか後世に伝えたいと、同市のデザイナー・岡律夫さん(60)が継承の道を共に模索。今回、映像作家らの協力を得て、作品や制作工程を収めた映像作品を完成させた。会場でも紹介している他、4月19日午後2時から同館3階多目的ホールで記念の上映会を開く。
池田さんは「自分にしかできない表現はないかと考えて作った」と話し、岡さんは「これほど細かい技術はない。和歌山に高い技術を持った人がいることを知ってもらえれば」と話している。
展示は午前11時から午後4時まで。
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