G1初騎乗の長岡騎手 ケイティブレイブで2着

JRA日本中央競馬会の今年のGⅠ開幕戦「第37回フェブラリーステークス」が2月23日、東京競馬場で行われ、初のG1騎乗に臨んだ和歌山県和歌山市出身の長岡禎仁(ながおか・よしひと)騎手=26歳=が、ケイティブレイブ(牡7)で、2着と大健闘した。
2012年3月に、美浦所属でデビューした長岡騎手は3度の落馬を経験し、2017年4月には腎臓破裂、左の肋骨全てを折る大けがを負いながらも、5カ月後には復帰。昨年5月に栗東・高橋亮厩舎に移籍、その後2年間、調教でまたがる機会の多かったケイティブレイブが、今回の晴れ舞台のパートナーで、しんがりの16番人気を吹き飛ばす長岡騎手の手綱さばきが、9年目を迎えたシーズン本番への大きなステップとなる。

ダート1600㍍に、4歳以上の16頭が出走した第37回フェブラリーステークスは、ルメール騎手が騎乗した1番人気のモズアスコットが優勝。史上5頭目となる芝&ダートGⅠ制覇を達成した。ラスト200㍍からの好ダッシュで、独走態勢を固めたモズアスコットを、外から素晴らしい脚力でケイティブレイブが追い上げ、歓声が場内に響いた。
アスコットのリードは大きく、2馬身半を詰めることはかなわなかったが、2着入賞のケイティブレイブと長岡騎手を、瀧本和義オーナーは笑顔で祝福した。
GⅠ3勝を誇るケイティブレイブだが、昨年春にはドバイ遠征で開腹手術を受けるなど、苦しさに耐えた実力馬は、痛みを知る長岡騎手と共に、力強い一歩を記した。

長岡騎手は、小学生(吹上小)の頃、和歌山陸上競技クラブに所属。短距離やリレー、走り幅跳びで活躍し、リレーでは近畿大会に出場した。西和中では、ソフトテニス部に入部。ダブルスの後衛を務めチームメートと共に、県大会や近畿大会でも健闘した。
和歌山陸上競技クラブで指導者、西和中では校長として、良き相談役でもあった山本宜史和歌山陸上競技協会専務理事は「とても頑張りやで、優秀な生徒でした。競馬学校への進路を決めた時、君はきっと強くなるからと、色紙を書いてもらった記憶があります。和歌山陸上クラブの指導者や仲間で、応援ツアーも考えています」と笑顔で話した。
西和中でソフトテニスを指導した神﨑信彦加太中校長は「まじめにこつこつ練習する生徒で、上達が早かった。ここぞという時の勝負強さが印象に残っています。けがを乗り越えよく頑張りました。活躍を期待します」とエールを送った。

長岡騎手が、騎手になろうと思ったのは中学2年生の時、家族で訪れた京都競馬場で見た騎手がかっこよく、大歓声の中、スポーツで人に夢を与える騎手を目指そうと決めた。
日本中央競馬会の競馬学校は、3年間にわたる全寮制。午前5時半起床、午後10時就寝の規則の中、日々、技能と学習を深め、長岡騎手は2012年、28期生で卒業した。同期の卒業は5人だった。3期生には武豊騎手、32期生には藤田菜七子騎手がいる。
初騎乗は2012年3月3日の阪神競馬場5R、初勝利は同年12月9日の中京競馬場8Rで、これまで(2020年3月2日現在)で1着63回、2着62回、3着81回を数える。

フェブラリーステークスを振り返り、長岡騎手は「GⅠに初騎乗させてくれた皆さんに恩返ししたい気持ちでレースに臨み、結果にほっとしました。これからも全力で頑張ります」と飛躍を誓った。長岡騎手の父・寿明さんは「けがを乗り越え、騎乗させてくれた皆さんの信頼によく応えてくれた」と話し、母・小都子さんは「レースをビデオ撮影していて着順が分からず、掲示板で2着を見た時は、感動で震えが止まりませんでした」と笑みをこぼした。

 

モズアスコットを外から追い上げるケイティブレイブと長岡騎手㊨ (写真:日本中央競馬会)

モズアスコットを外から追い上げるケイティブレイブと長岡騎手㊨ (写真:日本中央競馬会)

2016年2月13日、 小倉競馬場12Rで優勝した長岡騎手(写真:日本中央競馬会)

2016年2月13日、 小倉競馬場12Rで優勝した長岡騎手(写真:日本中央競馬会)

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