最後の思い出づくり みさき公園に活気再び

31日に閉園が決まっている総合レジャー施設「みさき公園」(大阪府岬町)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2月29日から臨時休園となり、今月24日にようやく再開となった。最後の営業月はわずか1週間の開園となったが、名残を惜しむ人たちで再びにぎわい見せている。

運営会社の南海電鉄の創業70周年事業として1957年4月に開園し、63年にわたり愛されてきたが、レジャーの多様化や少子高齢化などにより入場者数が減少し、昨年3月、同社は事業撤退を発表していた。

臨時休園からの再開は当初、19日を予定していたが、政府がイベント自粛要請を延長したことを受け、休園期間も延長。「このまま閉園してしまうのでは」と心配の声が上がる中、来園者の体温計測やアルコール消毒など、できる限りの感染防止対策を講じる形で、営業再開にこぎ着けた。

快晴に恵まれた25日、同園には思い入れのある多くの人が訪れていた。

娘、孫と3世代で訪れた堺市の瀬川美奈子さん(63)は「みさき公園とは同い年。子ども時代、青春時代、子育て時代と人生のいろいろな時間をここで過ごしました。寂しいけれど、きょうは思いっきり楽しみます」と笑顔で話した。

来園者は、動物を見たり、園内のあちこちで写真を撮ったり、レジャーシートを広げ弁当を食べたり、最後の思い出をつくろうと、思い思いに春のひとときを過ごしていた。

同園のスタッフは「手紙や電話で『再開してほしい』という声をたくさんいただきました。残り少ない時間ですが、皆さまに63年間の感謝の気持ちを届けたいと思っています」と話している。

予定されていた「卒園展」や人形ミュージカル「みんなの卒園式」などのイベント、観覧車やお化け屋敷などの一部のアトラクションは残念ながら中止となった。

イルカショーは、人が密集しないよう事前申し込みによる入場者の抽選をした上で、29日から31日の3日間限定で実施される。

園内で飼育されている動物の一部は、和歌山市の和歌山城公園動物園で受け入れる。

26日の市の発表によると、受け入れるのはフンボルトペンギン6羽、タンチョウヅル2羽、コブハクチョウ1羽、マーラ1頭、クサガメなどのカメ類5匹となっている。

実際の受け入れや展示は、手続きを終えた5月以降を予定している。

 

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