セイカ和歌山工場 特集記事

セイカ和歌山工場が完成

 

生産体制強化で需要増に対応

 

主力製品の「DPE/ODA」を生産するSW―A

主力製品の「DPE/ODA」を生産するSW―A

電子部品などの原料製造・販売を手掛ける化学メーカーのセイカ㈱(和歌山市南汀丁、竹田純久社長)は、同市の西浜工業団地に新工場「和歌山工場」を建設した。新工場の建設により生産能力を高め需要増に対応する。工場の敷地内には研究開発拠点「未来創造館」も建設した。ことし5月に創業65周年を迎える同社のさらなる発展に期待が高まる。

同社の歴史は、染料・顔料中間物の製造メーカーとして1955年に生まれた和歌山精化工業㈱(現在はグループ会社)にさかのぼる。セイカ商事㈱を経て2005年に現社名となった。スマートフォンや電気自動車(EV)などの製造過程で使用される高機能性ポリマー原料を製造・販売しており、特に芳香族ジアミンの「DPE/ODA」は国内で同社以外に製造しているメーカーがなく、高い世界シェアを誇る。取引先の中には国内外の大手化学メーカーが名を連ねる。
和歌山工場は1987年に竣工し、11プラントを擁する海南工場(海南市藤白)に続く同社にとって2カ所目の製造拠点で、ことし6月上旬の稼働を予定している。敷地面積は6万1000平方㍍。主力製品「DPE/ODA」の生産を担い、2拠点での製造により同製品の生産能力はこれまでの約1・5倍に向上する。製造棟への投資額は約50億円。研究開発部門を含め3年間で地元から新たに正社員約30人を採用する予定で、地域の雇用拡大につながることも期待される。竹田成宏取締役は「採用を強化しており、単に人を増やすだけでなく社員の新しいチャレンジを評価する仕組みの導入など、働きやすい環境の整備に力を入れている」と話している。


 

「新たな可能性を追求」 竹田純久社長が語る

ことし5月に創業65周年の節目を迎える同社。就任25年目となる2代目社長の竹田純久氏(67)に、新工場や研究開発拠点「未来創造館」に寄せる期待や、今後の事業の展望などを聞いた。

本紙のインタビューに答える竹田社長

本紙のインタビューに答える竹田社長

―新工場を建設するねらいは。
創業時から弊社は芳香族ジアミンを手掛けてきたが、近年は「DPE/ODA」が社会のニーズに合い、市場をリードしている。需要を多くいただいている中で、お客さまに対して供給不安を与えない体制づくりが必要と考えた。現在の研究拠点は手狭になってきており「ここで仕事をしてみたい」と思ってもらえるような快適空間をつくろうと意識した。人材の確保にもプラスになると考えている。

―新型コロナウイルスの感染拡大が続いているが、事業への影響は。
2018年はマーケットの動きが強かったが、19年は米中貿易摩擦の影響で年末の市場の動きが初頭に比べて弱かった。新型コロナウイルスの影響で世の中の動きがほぼ止まっている。現時点では影響はまだ軽微だが、マイナスの影響が目に見えて出てくるのは2~3カ月後ではないか。

―今後の事業展開はどう考えているか。
(5Gなどの)通信分野は、より大容量を瞬時に、タイムラグなく提供することが求められており、弊社の事業の中でも非常に有望なマーケットだと思っている。既存事業に加え、ヘルスケアや教育などの分野でも何かできないか可能性を追求していきたい。


 

デザイン性と快適性を両立 ―未来創造館―

 

木の温もりあふれる未来創造館

木の温もりあふれる未来創造館

和歌山工場には新たな研究開発拠点「未来創造館」が誕生する。
同社の研究開発拠点はこれまでグループ会社・和歌山精化工業㈱の小雑賀工場内にあったが、研究スタッフの人員増により手狭となっていた。未来創造館の開設により、研究スタッフ全員が小雑賀から西浜に移動する。
未来創造館は2階建てで延べ床面積は2165平方㍍。外装には紀州杉を加工したルーバー約3000本を使用しており、内装にも木材を多用。木の温もりが感じられるデザインとなっている。研究室はガラス張りになっており、研究スタッフ同士が互いの仕事の様子を確認することができるようになっている。館内は天井が高く開放的な雰囲気で新製品や新技術の開発促進に期待がかかる。建物や機械設備などへの投資額は約9億円。
同社は研究スタッフの増員を進める方針で、竹田社長は「(本格的な専用の)研究開発拠点はもともと持ちたかった。快適な空間となっており人材の確保にもつながるのでは」と期待を寄せる。稼働開始は5月上旬を予定している。


スマートフォンにもセイカの原料が使われている

スマートフォンにもセイカの原料が使われている

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