長年の功績たたえて 春の褒章、県内から12人

2020年春の褒章が29日に発令される。和歌山県関係の受章者は45~76歳の12人(男性8人、女性4人)。内訳は各分野の業務に精励し模範になる人に贈られる黄綬褒章が6人、公衆の利益や公同の事務に尽力した人に贈られる藍綬褒章が6人。拝謁と各省庁での伝達式は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となる予定。

今回を含めた県内の受章者数は1088人(黄綬489、藍綬588、緑綬5、紫綬6)となる。受章者は次の皆さん。

【黄綬】小向俊和(69)㈱小向商会代表取締役、和歌山市木ノ本▽坂本俊一(66)㈲千石不動産代表取締役、同市松島▽関儀平(67)㈱関組代表取締役、同市関戸▽田中サヱ(76)行政書士、同市北出島▽細川正巳(70)土地家屋調査士、橋本市賢堂▽山本聰洋(64)㈲山本園代表取締役、高野町高野山
【藍綬】岡村嘉彦(73)保護司、有田市初島町浜▽小谷眞千子(68)調停委員、みなべ町芝▽武内優子(71)保護司、和歌山市鷹匠町▽中野廣行(72)和歌山市消防団副団長、同市和歌浦南▽畠中常男(69)和歌山市身体障害者連盟会長、同市神前▽古川麻里(45)元小売物価統計調査員、同市津秦

仕事を通じ社会貢献

黄綬 ㈱小向商会代表取締役 小向 俊和さん(69)~和歌山市木ノ本~

黄綬 ㈱小向商会代表取締役 小向 俊和さん(69)~和歌山市木ノ本~

1973年、日本大学卒業後に㈱小向商会に入社。大阪支店長、取締役などを経て2001年に代表取締役に就任。県立工業高校の新築工事や県立近代美術館と博物館の空調熱源取替工事などの公共工事に携わり、資材調達や施工調整などの総括を務めた。

2007年から和歌山市管工事業協同組合の理事長にも就任。市企業局の漏水修繕工事に協力するとともに市民からの修繕要請を受け、情勢に応じて講習会も実施。2011年には台風で大きな被害を受けた那智勝浦町の復旧工事で、参加業者の手配や工程企画の策定に尽力し、工事を指揮。県管工事業協同組合連合会会長として県と「災害時における水道施設復旧作業の応急対策への協力に関する協定書」を12年に締結した。

仕事では常に社会貢献することを考えている。社員には失敗もノウハウを得る宝として蓄積し、後輩にも引き継いでいくように伝えている。受章については「名誉なことだが、大変な時なので喜んでばかりはいられない複雑な心境。これからも仕事を通してもっと社会に貢献し、組合員が公平に喜んでくれるように取り組んでいきたい」と語った。

 

顧客と物件に信用第一

黄綬 ㈲千石不動産代表取締役 坂本俊一さん(66)~和歌山市松島~

黄綬 ㈲千石不動産代表取締役 坂本俊一さん(66)~和歌山市松島~

1975年に不動産会社に入社。当時は高度経済成長期で、多くの住宅が建った時期だった。土地開発から土木、営業に至るまで、不動産の仕事の基本を学んだ。

会社の倒産に伴い、1996年に独立して㈲千石不動産を立ち上げた。ゼロからのスタートだったが、同業者の協力や全日本不動産協会を通して人脈を広げていった。以来、県内初の水素ステーションの建設場所を紹介するなど、さまざまな人と物件をつなげてきた。

不動産の仕事は信用第一。信用がなければ商売は成り立たない。客には誠実に、公正な見方で物件を紹介することを心掛けている。今も依頼を受けられるのも、これまでの積み重ねだという。

現在は同協会と不動産保証協会県本部長を務める。東京での理事会に参加したり、また不動産保証協会では業者の事案を精査したり、会員の育成と客の保護に努めている。

受章について「自分でいいのかな、という信じられない気持ち。受章を人生の節目にして、これからも襟を正して頑張っていかなくてはと思う」と語った。

 

社会全体で障害に理解を

藍綬 和歌山市身体障害者連盟会長 畠中常男さん(69)~和歌山市神前~

藍綬 和歌山市身体障害者連盟会長 畠中常男さん(69)~和歌山市神前~

海南市出身。和歌山市神前で鍼灸院を営む傍ら10年前から市身体障害者連盟会長を務め、誰もが自分らしく生きられるよう、障害福祉の向上を目指し努力を続けてきた。「障害を意識することなく普通に生活できるようになってほしい」と語る。

連盟の活動で力を入れているのは、学校で障害について学んでもらうこと。会員が小学校などに赴き、自身の障害について話す他、点字や車いすなどの体験を通じて障害への理解を深めてもらうことに努めている。

自身は小さい頃から弱視で県立盲学校に進み、40歳ごろには全盲に。障害のある人を取り巻く環境について「単なる手まね、身ぶりと言われることもあった手話が(言語として)ずいぶん認知されるなど、社会が障害者を見る目は昔に比べると大きく変わった」と話す。一方で、「障害があってもできるだけ仕事に就けるようになってほしいが、壁はまだ厚く、高い」とさらなる改善の必要性を強調する。

読書や楽器演奏などが趣味。「働いて家庭を持つ障害者を1人でも増やしたい」と情熱を燃やしている。

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