名曲をテレワーク合奏 県内アーティスト

新型コロナウイルスの感染拡大により、最も早い段階から影響を受けてきたのが、ステージで活動するアーティストやエンターテイナーたち。自粛要請によりパフォーマンスの場を失う中、和歌山県内出身、在住の15人が自宅から参加した「テレワーク合奏」が感動を広げている。発案した和歌山市のサックス奏者・Nazukiさんは「一人でも多くの方が癒やされ、少しでも笑顔になっていただけたらうれしい」と話している。

イベント自粛により出演するステージをなくし、落ち込んでいたNazukiさんは、バイオリニストの高嶋ちさ子さんが動画サイトのユー・チューブで公開したテレワーク合奏を見て感動。「私たちもできないか」とアーティスト仲間に呼び掛け、実行することになった。

演奏した曲はX JAPANの「Forever Love」。世代を超えて愛されているこの曲には「教えて生きる意味を」「溢れる涙の中 輝く季節が永遠に変わるまで」など、コロナ禍の渦中にある多くの人々の苦境と、未来の希望への思いに重なる歌詞が歌い込まれており、選曲した和歌山市の作曲家・イケハラタカヒロさんは、「いま世界中で希望を持てない状況が続いている中、その逆境に打ち勝っていくイメージ」を感じて選んだと話す。

動画は、ピアノやドラム、フルートなど9人による楽器演奏に6人のボーカルが加わり、音楽に合わせてライブペイントで絵を仕上げていくという構成。それぞれが自宅で収録したパフォーマンスをイケハラさんが編集し、約1週間かけて完成させた。

参加した15人は、全員が互いに面識があるわけではなく、今の危機的状況だからこそつながった縁でもあった。Nazukiさんは「私たちアーティストは孤独と向き合っている状況でしたが、今回の機会で、一人ひとり離れた場所にいても、一つのものを制作することができました」と喜ぶ。

合奏の動画はユー・チューブなどで発信し、19日に公開したNazukiさんのツイッターでの視聴回数は2日間で5万回を突破。「感動して涙が止まりませんでした」「音楽の力は本当に素晴らしい」「音楽家の皆さんありがとう」など、続々と感想のコメントが寄せられ、15人は心から励まされる思いを共有しているという。

さらに驚いたのは、「Forever Love」を作詞・作曲したYOSHIKIさんが、自身のツイッターで「涙が出て来た。感動」とのコメントを添えて、Nazukiさんの動画ツイートをリツイート(再投稿)で拡散したこと。Nazukiさんは「自分がツイートしたものが数秒で数字が伸びていくのを見ながら、何が起こっているのか分かりませんでした」と振り返る。

アーティストたちの厳しい状況は続いているが、イケハラさんは「音楽はどの時代でも聴く人の心に響くものだと思います。今後もテレワーク合奏を発展させ続けていきたい。将来、コロナ禍が収束したときに、演者も、聴いてくださる方も心がさびついていることのないよう、今から心の復興を行っていきたいと思います」、Nazukiさんは「音楽活動はとことん苦境へと進んでいますが、今だからこそできる音楽活動をしていきたい」と思いを新たにしている。

動画はユー・チューブ「おうちでForeverLove」で検索。

テレワーク演奏に参加したアーティストは次の皆さん。

ギター=加納洋志▽ドラム=しゅん▽ピアノ=イケハラタカヒロ▽バイオリン=阿佐聖姫子▽フルート=兵谷一美▽クラリネット=南方美穂▽サックス=Nazuki▽トランペット=ひょうたにまさのぶ▽テューバ=Igutchan▽ボーカル=singerSAYAKA、Shino、内川樺月、Chizuko、兵谷一美、津嶋佳奈▽ライブ・アート=佐竹幸

テレワーク合奏に参加した15人のアーティスト(イケハラタカヒロさん提供)

テレワーク合奏に参加した15人のアーティスト(イケハラタカヒロさん提供)

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧