国のコロナ対応に苦言 ウェブ会議で仁坂知事

全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部の第9回会合が20日午前、ウェブ会議で行われた。仁坂吉伸和歌山県知事は3分間の発言の中で、感染者の隔離の在り方、医療従事者への対応などを巡り、「改めるべき」「センシビリティー(感受性)がなく、国民をあまり大事にしていない」などと国を厳しく批判した。

対策本部会議には秋田、群馬、山梨、佐賀を除く各都道府県がウェブで参加。鳥取の平井伸治知事による「新型コロナウイルス感染症対策に係る緊急提言」、三重の鈴木英敬知事と富山の石井隆一知事による「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の飛躍的増額に向けた緊急提言」を主な議題に話し合いが行われた。

仁坂知事は14番目に発言し、3分間で自身の考えを主張。現在の感染状況について「地方はまあまあ収まってきたが、大都市はちょっと大変なことになって、入院がちゃんとできなくなっている。私は、病人を入院させられないのは十分、医療崩壊だと思う。それを国民が自粛して助けたということ」と述べた。

欧米各国と日本の新型コロナ対策を比較し、「欧米は超絶自粛をしているが収まっていない。日本の保健所や感染症法の機能がほとんどないことが分かった。日本にはそれがあるのだから、立て直していかないといけない」と、日本の強みを生かした対応の重要性を話した。

さらに「感染者が減ってきた今こそ、陽性者を野に放つことはやめたらいい」とし、国が適切な対処をしていないとして批判。「(国の)対処方針を見たら、隔離をきちんとしなさいという内容はほとんどみられない。14日たったら自動的にPCR検査をしないで無罪放免でもよろしいと言っている。まちのクリニックが(感染者の)早期発見のセンサーなのに、これを活用しない。こういうところを国は改めるべきだ」と主張した。

医療従事者については、「医師がコロナと戦っている。医療関係者を必死になって鼓舞しながら知事が各地域で頑張っている。そのさなかに『医師の数を減らしなさい』という従来型の指示が(国から)きた。全国で医師が戦い、医師不足でどうしようもない時に、そんなことをするのかと。センシビリティーのなさ、国民をあまり大事にしていないと思って反省してほしい」と苦言を呈した。

ウェブ会議で発言する仁坂知事

ウェブ会議で発言する仁坂知事