ドローン利用の安全確保へ 規制法改正案の成立が焦点

鶴保 庸介

6月17日に迫った会期末。おおかたの国会議員は、新型コロナウイルス蔓延と東京での自粛生活の行方を案じておられるところではないかと思いますが。私の目下の懸念は、私が何度も仲間の先生方と議論して作ってきたドローン法案が今国会で成立するか否かです。
皆さんがご存じのとおり、ドローンは既に、農薬散布や空撮、土木測量、設備点検、災害調査などの分野において利活用が始まっており、作業効率の向上、生産性革命の推進への貢献が期待されています。私も、一昨年の秋に福島県浪江町で行われた日本郵便㈱の荷物配送の実証実験に参加いたしました。
しかし、普及があまりに早かったため規制が追いつかず、悪質な飛行が横行し、航空機能の阻害、機体自体の墜落事故など問題が多発しました。関空で違反ドローンが離陸寸前の航空機を数時間に渡って足止めした“事件”は記憶に新しいと思います。そこで私は、ドローンの登録制、免許制といったルールの必要性を感じ、関係各省庁と頻繁に協議を重ね、法整備のためのドローン議連を作りました(会長二階俊博先生、幹事長が私です)。
そもそもドローンとは何か、おもちゃのようなドローンまで対象に規制すべきなのか、事前に違反者を見つけるにはどうするのか、違反したらどうやって取り締まるのか、等々白紙からの議論は白熱を極めました。しかし、現状での技術的制約を踏まえた上で、とりあえずの“ドローンと共生していく社会”のスキームを打ち立てていかねば、今後取り返しのつかない“違法ドローン”が溢れかえることにもなりかねません。そこで、できることからまずはやっていくべき、と強く私は主張しました。
今回の改正案にて、ようやく機体と所有者の登録については義務付けられることとなります。登録申請所有者は、オンラインにて機体情報、所有者情報を国土交通省に届け出をし、その後通知を受けた登録番号を機体に表示しなければなりません。また、飛行禁止の施設について、従来(国会議事堂等国の重要な施設、外国公館、原子力事業所、防衛関係施設)に加え、国土交通大臣が指定する空港を対象とするとともに、空港管理者に対し、違反に対する命令や措置の権限が与えられることとなります。
東京オリンピック・東京パラリンピックの開催も危ぶまれる状況ですが、できる限りの準備の一環として、ドローン利用の安全性は確保しておかねばと考えています。
今の私は「がんばってます」ではなく、さらに「がんばります」。

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