持続可能な農業へ 東洋ライスが北杜市と協定

東洋ライス㈱(銀座本社=東京都中央区、和歌山本社=和歌山県和歌山市黒田、雜賀慶二社長)と山梨県北杜市(渡辺英子市長)は7月29日、食と地域資源の循環による持続可能な社会の実現に向けた包括連携協定を締結した。同社が世界で初めて開発した無洗米「BG無洗米」とその副産物である「米の精」を活用し、市民の健康増進や地産地消の実現、米のブランド力向上を目指す。

北杜市は山梨県内で最も大きい水田面積を有する地域。肥沃(ひよく)な土地で水にも恵まれ、米どころとして知られる。同市の各生産者が約10年前から、東洋ライスが開発した「BG無洗米」の製造過程で生じる米ぬか「米の精」を使った野菜の生産を進めている。

一方、同社は30年前から「BG無洗米」による環境問題の解決や、栄養とおいしさの両方を実現させた健康志向の「金芽米」を開発。併せて「米の精」を有機肥料や飼料として活用するなど循環型農業を推進。また、2019年11月には国連でSDGs(持続可能な開発目標)の貢献活動を発表した。

協定内容は、SDGsの達成に基づいた地域のブランド力の向上、地産地消の推進に取り組むことなど。両者が連携を図り、同市で作られる米に同社の精米技術を活用して米の付加価値を高め、SDGsを核に、持続可能な農業に取り組む。

同市は子どもたちの郷土愛を育もうと、10月から市内の全保育園に市内で作った米を精米加工した栄養価の高い金芽米を炊きたてのご飯として提供する完全給食を実施。21年からは「米の精」を活用し、農産物の生産を広める新たな農業の取り組みをはじめ、循環型農業を基に安全安心で魅力ある米や野菜作りを行う。

締結式は東洋ライス和歌山本社と北杜市役所をオンラインで結び、雜賀社長と渡辺市長がそれぞれ協定書にサインをした。

渡辺市長は「精米技術を生かして北杜のおいしい米のブランド力を高め、1000年先まで続く農家が潤う新しい米作りの道を切り開いていきたい」と抱負。雜賀社長は「SDGsを推進していくには、行政・企業・市民(消費者)の三者がそれぞれの役割で協力することが必要。この取り組みがSDGsの活動モデルになれば」と話した。

 

協定書を掲げる雜賀社長㊧とモニターに映る渡辺市長

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