厳しい状況も下げ止まりの動き 県経済情勢

和歌山財務事務所は、2020年7月判断の和歌山県内経済情勢報告を発表。総括判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるものの、足下では下げ止まりの動きがみられる」とし、18年4月以来、2年3カ月ぶりに上方修正した。

情勢報告は、個人消費や設備投資など9項目の基調判断を総合して総括判断を行っている。今回は主要3項目のうち雇用情勢は下方修正、生産活動は横ばいだったが、個人消費は上方修正し、企業収益も上方修正となったことなどから総括判断につながった。

個人消費は、新型コロナの影響でドラッグストアでマスクなどの衛生用品や冷凍食品、パスタなどの「巣ごもり」関連商品が好調となった他、家電大型専門店でも来店客数は減少したものの、在宅勤務関連商品などが好調だった。

一方、百貨店・スーパーは食料品が好調となったものの、衣料品、身の回り品は店舗の一時営業休止や来店客数の減少などから低調で、コンビニエンスストアでも、外出自粛や在宅勤務の増加により来店客数が大幅に減少したことから低調となった。

生産活動は、化学工業では家庭用向け製品の生産が引き続き堅調となっているものの、機械工業は、新型コロナの影響による世界的な需要の減少により汎用機械や生産用機械においても生産量が減るなど、全体として減少している。鉄鋼業では、世界的な経済活動の停滞により、エネルギー関連製品の生産量が減少しているなど弱さがみられている。

雇用情勢は、有効求人倍率が低下していることに加え、雇用の先行指標といわれる新規求人数が、5月に5カ月ぶりに増加に転じているものの、増加率が小さく、新型コロナの影響による求人控えにより減少し続けている有効求人を押し上げるものとはなっていない。

企業からは、「緊急事態宣言が解除され、以前より家族連れの客層が増えてきているが、前の水準には程遠い」(飲食業)、「中国向けは堅調で受注は減っていないが、欧米向けは経済活動が停滞しているため、足下で受注が減少している」(電気機械製造業)、「不急の設備投資は延期する。下期はまだ難しいと思われ、来年3月以降になるだろう」(百貨店・スーパー)などの声があった。

先行きについて和歌山財務事務所は、新型コロナの影響が続く中、国や県などの各種政策の効果もあって現在の厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待されるとし、企業の動向を注視するとする一方、「国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動などの影響についても注視していく必要がある」としている。

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