コロナ禍で学ぶ伝統 市民能ワークショップ

市民を対象にした能のワークショップが16日、和歌山市民会館の和室で始まった。能文化の裾野を広げようと、NPO法人和歌の浦万葉薪能の会(松本敬子代表)が2008年から開き、現在は市などと共催。ことしも同市の重要無形文化財保持者で観世流能楽師の小林慶三さん(88)が講師を務め、参加者はきりりとした表情で臨んでいる。

例年は秋の「和歌の浦万葉薪能」の舞台を成果発表の場としているが、ことしは新型コロナウイルス感染症拡大防止のため薪能は延期に。成果発表会は10月3日に県民文化会館小ホールで開くことにした。

3歳から高校3年生までの子どもたちを中心に参加。18人が小林さん宅の能舞台での稽古を含め全5回の指導を受ける。感染予防のため参加者はマスクを着用し、手指の消毒、検温を実施するなど対策。同会の松本代表は「コロナ禍で大変な状況ですが、これまで継続してきた能文化の火を消さないよう、できる限りのことをしたい」と話す。

年齢や習熟度によって、「羽衣」「鶴亀」「船弁慶」などそれぞれに合った演目に挑戦。小さな子は小林さんに手を取ってもらいながら所作を学び、経験者の中には扇子を使いこなし、小林さんと並んでさっそうと舞う子も。重心を落とした動きや、強い足拍子を取り入れた舞などを練習した。

3歳から続けている和大付属小学校5年生の男の子(10)は「お能は動きがかっこいいので好き。ちゃんと決めるところは決めて、メリハリをつけて踊れるよう頑張りたい」と笑顔だった。

小林さん㊨の指導を受けて舞う男の子

小林さん㊨の指導を受けて舞う男の子

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