パーキンソン病 脳内ネットワーク解明

和歌山県立医科大学の研究チームは6日、パーキンソン病の治療に関連して現れることがある、ギャンブルや買い物依存などの精神症状について、特定の脳内ネットワークの異常が関連していることを明らかにしたと発表した。同大によると、世界初の発見。今後のさらなる病態解明などが期待される。

パーキンソン病は脳内ドーパミン神経の減少により動きが鈍くなり、手足の震えなどがゆっくりと進行する疾患。10万人に150人程度の有病率で、世界中で600万人以上が罹患。2040年には1420万人まで倍増すると予測されている。

震えなどの他に、ギャンブル依存や買い物依存、過食などを自制できなくなる衝動制御障害が約13%の患者で認められる。

衝動的な行動は同障害の前兆で、同障害発症時の重症化に関連するとされるが、脳の病態生理に関しては不明な点が多い。

同大の研究チームは、安静時機能的MRI(核磁気共鳴画像法)を使い、パーキンソン病患者の脳内を調べた。

その結果、衝動性の高いパーキンソン病群は低い病群に比べて、物事の実行に関与する右前頭頭頂ネットワーク(FPN)と、見たものを認識して処理する内側視覚ネットワーク(MVN)間の結び付きが有意に高いことが分かった。

今回の研究でパーキンソン病の衝動的な行動の背景に、特定の脳内ネットワーク異常が関連していることが示されたが、複雑なメカニズムの一側面だとし、今後のさらなる病態解明や局所療法、薬物療法開発の理論的根拠として重要な知見になることが期待されるという。

同日、和歌山市紀三井寺の同大で開かれた記者会見には、医学部脳神経内科学講座の真守助教と生理学第1講座の金桶吉起教授、脳神経内科学講座の伊東秀文教授が出席し、「パーキンソン病のネットワークの異常を明らかにできた。発病を早期に発見し、治療につなげていきたい。このような研究はさまざまな病気とも対照できるものでこれからも頑張っていきたい」と話した。

会見する研究チーム

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