鬼滅ファン集う 貴志川町の甘露寺が人気

劇場版アニメが大ヒット中の人気漫画『鬼滅の刃』に登場する主要人物の一人「甘露寺蜜璃」(かんろじみつり)の名字と同じとして、和歌山県紀の川市貴志川町長原にある浄土宗「甘露寺」がファンの間で話題となっている。同寺の山下芳巖住職(71)も檀家の総代会、世話人会の承諾を得てフォトスポットを設けるなど協力。コスプレイヤーらが次々と訪れ、ポーズを決めている。

『紀伊続風土記』(1839)によると同寺は、小倉の荘(和歌山市)田中村の廃寺を長原の地に移し、明暦中(1655~1657)に建立されたとある。境内には「縁結びの木」として葉がお守りに使われる梛(なぎ)の木があり、偶然にも「恋」を柱とするキャラクターである蜜璃との関係も評判になっている。

山下住職は、ことし春ごろ同寺を訪れた2人組の『鬼滅の刃』ファンの話から蜜璃の存在を知り、現在ではコミックスを全巻そろえるほどに。「単なる果し合いと違い、味方だけでなく敵である鬼にでもさえ、仲間や家族の絆、愛情など良い思い出を描いているところが幅広い年代から支持されているのでは」と述べ、現在同寺が話題になっていることについては「寺は檀家さんだけのものではない。これを機に多くの方々が寺に足を運んでほしい」と歓迎の姿勢だ。

25日には大阪市のフォトスタジオ「ミシアプレミアム」(嶋都支子代表)の呼び掛けで集まった『鬼滅の刃』ファンの子どもたちが各キャラクターの衣装をまとい同寺に集まり、参拝者らの撮影に応じていた。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は今月16日の公開から10日間で興行収入107億円、観客動員798万人を突破するなど大ヒットし、社会現象となっている。紀の川市は29日まで、大阪市内の三つの映画館で市のPR動画のCMを流しており、特設サイト「かんろじまえのひ・み・つ」では「紀の川市はキュンかわ市へ」というコピーが記されており、甘露寺のある貴志川町周辺を「恋の聖地」として売り出したい方針だ。

 

本堂に設営されたフォトスポット前でポーズを決めるファンの子どもたち

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