指先の感触を大切に 視覚障害者の陶芸体験

和歌山県岩出市東坂本の県植物公園緑花センターで24、25の両日、同市の根来一乗窯陶芸教室による体験会が開かれた。紀の川沿いの地域に住む視覚障害者やボランティアでつくる「紀の川ネット」(井浦千惠子会長)の4人も電動ろくろを使った陶芸に挑戦。信楽の土で茶わんや湯のみなど、思い思いの作品づくりを楽しんだ。

同陶芸教室を主宰する清水均佳さん(72)が指導した。同団体とは3年前から陶芸体験で交流してきたが、電動ろくろを使うのは初めてという。

メンバーは機械の回転音を聞きながら、土の中央に両手の親指で穴を開け、押し広げていった。清水さんは自身の手を添え、「ゆっくりと土を意識しながら」「大きさは、ええ感じになってる」などと土の状態を説明しながらアドバイス。参加者は指先の感触を頼りに、高さや厚さ、広がり具合を確認しながら形を作った。

清水さんに褒められ「弟子入りしようかな」と冗談交じりの人も。仕上げに指跡をつけたり、変形を加えたりして自分だけの作品を完成させた。

清水さんは「私たちも目からの情報に頼るのでなく、心を鎮め指先の感覚を頭で捉えてろくろをひく、そんな心構えが大切だと感じます。皆さんに喜んでもらえれば何より。このような交流を、今後の自分の焼き物にも生かしたい」と話した。

参加したメンバーは「手触りがよく、冷たさやきめ細かい感触が伝わってきた」「土を触っていると心が落ち着いた」「どんな形になるか焼き上がりが楽しみ」と笑顔で話していた。

 

清水さん㊧の指導でろくろをひく参加者

 

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