心通わす大切さ 元小学校長の津田さん小説
和歌山県紀美野町動木の元小学校校長、津田修吾さん(74)の小説『僕らは子どもたちと共に歩いていく』が、文藝春秋から発売された。小学校教諭、校長として38年間にわたり教職に携わった津田さんが、さまざまな経験から学び、感じた、人として「心を通い合わす」ことの大切さや難しさを、若い教員カップルの恋愛を軸に、子ども、学校、保護者と出会う人間模様をつづった物語。地元和歌山を舞台に、さりげない方言が親しみやすく、人と人とのふれあいが温かく描かれている。
野上町(現紀美野町)生まれの津田さんは、大成高校、和歌山大学を卒業後、教師の道へ。地元の小川小を皮切りに和大付属小、加茂第二小をはじめ塩津小や下神野小の校長も歴任。退職後は、県が進める学力向上フォローアップ事業の一環で学校を訪問し、実際に教壇に立ち子どもたちに授業も行っている。
小説は、若い教員カップルが直面する学校での出来事や、子ども同士、子どもと教師、教師と保護者などさまざまな人間関係を題材に、人として失ってはいけないもの、大切なものを訴えている。
相手を思いやりながらも言葉のすれ違いでピンチに陥ったカップルが、コミュニケーションの力の重要性を痛感するなど、読者が共に考えさせられる場面も多い。
舞台となる和歌山市や海南市、紀美野町の地名や実際の喫茶店も登場し、より身近で親近感あふれる作品となっている。
津田さんは「今、私が学校で出会う子どもたちは、みんな元気で明るく、素直です。けれどそこで見せないもう一つの顔があるのも事実です。この小説が人として共に生きる大事なこと、人間関係の在り方を、多くの皆さんが考えるきっかけになれば幸いです」と話している。
発行は文藝春秋企画出版部。1540円(税込み)。最寄りの書店、アマゾンで販売中。
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