20年前のタイムカプセル 有功中で掘り起こし

和歌山県和歌山市六十谷の市立有功中学校で27日、2001年3月に校庭に埋設されたタイムカプセルが掘り出された。当時のPTAの取り組みにより、全校生徒や保護者、教職員らが20年後に向けて「夢」を託したメッセージなどが納められている。来年5月2日に同校で開封イベントの開催を計画しており、当時の生徒や保護者らに参加を呼び掛けている。

タイムカプセルの埋設は、21世紀の幕が開けた01年3月3日、当時の同校PTAが「タイムカプセルに未来の夢を託そう」と題して企画した取り組みで行われた。

PTA会長を務めていた西中康浩さん(65)によると、00年当時、少年による凶悪事件が相次いだことなどから、子どもたちを取り巻く社会情勢は厳しく、子どもたちに夢や希望を抱いてもらえる取り組みをしたいとの思いがあった。折りしも、21世紀を迎える節目の年に中学時代を過ごした子どもたちの記念になる物を残そうと、「夢」のタイムカプセル作りが決まった。

全校生徒627人が20年後に思いをはせて書いた作文をはじめ、写真やアルバム、保護者や教職員から20年後の子どもたちに宛てたメッセージ、寄せ書き、PTAの広報誌などが集められ、直径約30㌢、高さ約90㌢、円筒形のポリプロピレン製のカプセル2個に納められた。

カプセルは同校正面玄関脇の校庭の一角に埋められ、「タイムカプセル 夢」と刻んだプレートの除幕など、埋設の式典の様子は、本紙01年3月6日付などで報じられている。

新型コロナウイルス禍のため、27日の掘り出しは少人数で行い、当時の生徒、PTA、教員ら約20人が参加。パワーショベルで土の上部を掘り起こした後、当時の3年生で開封事業の実行委員長を務める廣﨑力也さん(35)らが、シャベルを使って手作業で掘り出した。

土の中からカプセルが姿を見せると、参加者からは「あった!」「おおっ!」などと声が上がった。埋設当時、金色に塗られていたカプセルは、色はくすんでも目立った傷はなく、中身も無事な様子。掘り出されると拍手が起こった。

埋設事業の実行委員長、PTA副会長だった山田守さん(68)は、埋める作業をしていた時、当時3年生の娘が校舎の窓から手を振っていたのを思い出したと語り、「見つかってホッとした」と安心した様子。西中さんは「20年たって、皆で集まってこんなことができるのも子どもたちのおかげ。親と子の一体感を感じる」と感慨深そうに話した。

掘り出しに立ち会った当時の2年生、鈴木香里さん(34)は「作文に何を書いたか全然覚えていないので、見るのがちょっと怖い」、和田亜樹さん(34)は「開封するのが楽しみ。同窓会をしたら盛り上がりそう」と笑顔。廣﨑さんは「無事にカプセルが見つかってうれしい。開封式には、ぜひ多くの人に来てもらいたい」と呼び掛けていた。

掘り出されたタイムカプセル

掘り出されたタイムカプセル

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