「書と短歌 季のめぐり」 妻木さん一冊に

和歌山県海南市岡田の妻木伊佐子さんが、自作の短歌を書にしたため、第2集『書と短歌―季(とき)のめぐり』を発刊した。喜寿と金婚式を迎える節目を前に5年ぶりに編んだ一冊で、妻木さんは「ほんの日記代わりの拙い歌ですが、皆さんに背中を押していただいて完成し、宝物になりました」と話している。

妻木さんは書道に親しんで30年近くになる。故山本真舟さん、加納敬舟さんに師事。短歌は同市の保育所を50歳で退職後に始めた。長年懇意にしている本紙歌壇選者の唐津麻貴子さんの勧めもあり、歌を詠んでは、色紙や短冊にしたためてきたという。

四季の変化や家族への思い、心に浮かんだ感情を三十一文字に込め、今集では春夏秋冬の他「友、孫、夫、義母、時代、書、農の勲章、金婚式」などの項目に分け、208首を収めた。

「私の短歌を待ってくれている友人が多く、思い掛けず予定よりも早い第2集になりました」。幼なじみら仲間十数人とは今も交流があり、楽しいハイキングでの一こまを表現した「行こ行こと友らと巡る大和路に紀州訛をふりまいて行く」は、日本歌人クラブ近畿短歌大会で入賞した。

ふるさとを題材にしたものも多く、藤白神社では「ふる道に旅を見守る丁石仏やさしき笑みに心やすらぐ」、琴ノ浦温山荘園では「帰り来る鳥たちの標ともならんいちょう大樹は輝き散らす」などの歌が生まれた。

「短歌は日常のいろいろなことを記録できる。したためたものを振り返ってみると、その時々の思いや自分の姿がよみがえってくるよう」とほほ笑む。

妻木さんは「人生100年時代。これからも向上心と好奇心を大切に、人生を豊かにしてくれる書と歌とともに歩んでいけたら」と話している。

歌集に関する問い合わせは妻木さん(℡073・482・1922)。

柔らかな筆遣いの書で短歌をまとめた

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