その時に備え耐震化 県が制度活用呼び掛け

東北地方太平洋側を中心に広域で甚大な被害が発生した東日本大震災から11日で10年を迎える。和歌山県内でも2月15日にはマグニチュード4・1の地震が発生し、和歌山市で震度4の揺れを観測した。南海トラフ巨大地震が発生した場合は県内でも大きな被害が出る可能性があるが、県内の住宅の耐震化は行政の思い描くペースで進んでいるとはいえない状況にある。県内の現状について県建築住宅課に聞いた。

東北地方では、2月13日に福島や宮城で震度6強を観測する地震が発生したが、全半壊した家屋はなかった。県は要因の一つに住宅の耐震化が進んでいることがあると見ている。

住宅の耐震化率について、県は住宅・土地統計調査の結果を基に推計を実施。2018年は全国平均が84・3%に対し和歌山は81・0%。都道府県別で39位にとどまった。同課によると、2005年の67%から上昇が続いているが、伸びは緩やかだという。県は「県住宅・建築物耐震化促進計画」を策定し、国の方針を踏まえ2020年度の耐震化率の目標を95%としていた。全国的に耐震化率の伸びは緩やかで目標設定の妥当性については議論があるという。県内でも住宅の耐震化促進について市などが戸別訪問を行っており、同課は「耐震診断は以前よりもスムーズに受けていただけるようになってきている。今後は(耐震改修が必要となった場合)いかに改修につなげるかが課題」と話す。

県は耐震改修の支援を拡充しようと、設計と工事をセットで行う場合は最大116万6000円を補助する制度を設けており、一定の工事費までは自己負担が無料になるという。耐震ベッドや耐震シェルターの設置、家具の固定などにも支援があり、同課は「南海トラフが発生した場合、津波も怖いが、津波よりまず先に地震が来る。スムーズに避難できるよう、耐震化を進めてほしい」と話している。

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧