市和歌山が劇的サヨナラ 小園4安打完封完投

第93回選抜高校野球大会は大会4日目の23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦3試合があり、2年ぶり7回目出場の市和歌山は第1試合で県岐阜商(岐阜)を相手に1―0でサヨナラ勝ちし、2回戦進出を決めた。プロ注目の152㌔右腕、小園健太投手(3年)が9回を投げ切り、4安打の完封勝利を飾った。市和歌山は第7日(26日)第3試合(午後2時20分開始予定)で明豊(大分)と対戦する。

【1回戦】

県岐阜商 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
市和歌山 0 0 0 0 0 0 0 0 1x 1

〔県〕野崎、松野―高木〔市〕小園―松川

市和歌山が投手戦を制し、劇的な勝ち方で初戦を突破した。両チーム無得点で迎えた9回裏、市和歌山は先頭の4番・田中省吾(3年)が内野フライに倒れるも、1死から平林直(同)が変化球にうまくタイミングを合わせ中前打で出塁。平林が盗塁で2塁に進むと、1死1、2塁から7番の亀井新生(同)が高めの直球を中前に鋭く弾き返した。2塁走者の平林は勢いよく3塁を蹴ると、猛烈な勢いで本塁に頭から滑り込み、相手捕手のタッチをかわしサヨナラの生還を果たした。

勝利が決まった瞬間、選手たちはベンチを飛び出し、本塁付近で最高の笑顔を見せた。校歌が流れた後、一塁側アルプス席の前に向かい、熱い声援を届けた応援団に勝利を報告した。

エース・小園は、やや制球に苦しむ場面もあったが、走者を背負ってから直球をぎりぎりのコースに決めるなど、粘り強い投球で相手に得点を許さなかった。 特に光ったのが右打者の外角に逃げていくキレ味抜群のスライダー。相手打者が低めのボールゾーンに大きく外れるスライダーに手を出す場面が終盤まで多く見られた。今大会の出場投手の中で屈指の球速を誇る直球も相手打線を苦しめた。

8回は先頭打者の出塁を許したが、続く打者の投前への犠打を素早く捕球すると2塁へ矢のような送球で併殺とするなど、投球以外の守備でも非凡さを見せ、今大会ナンバーワンの前評判に違わぬ完成度の高いプレーを披露し、甲子園の観客をうならせた。

小園健太投手 「初めての甲子園で少し舞い上がってしまった。序盤から制球が悪く、苦しかったが、スライダーをうまく使うことができた」

半田真一監督 「苦しい場面もたくさんあったがよく粘ってくれた。よく勝ち切ってくれた。小園は要所要所でしっかりしたボールを投げてくれた。100点満点だった。平林が盗塁を決めた場面では、何とか思い切って作戦をやっていこうと思った。サヨナラ打を放った亀井には打席に入る前、『必ず回ってくるからお前が打つんだぞ』と伝えた。次戦の明豊は打線も強いチーム。自分たちの野球ができるようにしていきたい」

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