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和歌山さんぽみちプロジェクト

デコポンと同じ交配種「はるみ」

前号では、柑橘(かんきつ)の大トロと呼ばれるほど、瑞々しさと甘味が特徴である柑橘「せとか」を取り上げた。温州みかんとオレンジを交配した国内初のタンゴール品種である「清見」は、さまざまな春柑橘を生み出している。今週は、清見とポンカンの交配種「はるみ」=写真=を紹介したい。
この組み合わせに見覚えがある方もいらっしゃるだろう。はるみは、清見とポンカンの交配種として有名な「デコポン」と同じ組み合わせ。厳密にいえばポンカンにも種類があり「F2432ポンカン」という品種から生まれたのが、はるみである。
外見上、デコポンのように凸が際立って見えることはないが、輪切りにしてみるとデコポンの風格を感じさせられる。デコポンと比べ外皮が柔らかくて剥きやすく、温州みかんに似ている。特徴は大粒の果肉。果肉が大きくなるほど水分が抜けパサパサとした食感になりがちであるが、はるみの場合、果汁が多く完熟した甘味を感じることができる。
この品種も清見と同じ静岡市清水区の生まれ。1996年に命名され、1999年に品種登録された。冬の終わり、春を感じさせる頃に旬を迎え、味と香りが春を予見させることから、はるみと名付けられたという。
はるみは表作と裏作が交互に訪れることが多く、毎年均一な結果が出ることがない難しい品種。表作に当たれば糖度が15度を超すものもあるといい、食べるまで味が分からない不思議な柑橘である。
農水省統計(2017年)によると、主な生産地は、広島県(30%)、愛媛県(27%)、和歌山県(15%)と国内3位の収穫量。ことし、筆者が食したはるみの甘味はいまひとつ。来年こそは糖度15度のはるみに出合いたい。(次田尚弘/和歌山市)