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和歌山さんぽみちプロジェクト

清見と文旦を交配「春峰(しゅんぽう)」

前号ではオレンジの味が濃い、清見との交配種「たまみ」を取り上げた。今週は清見と水晶文旦の交配種で、和歌山県有田郡で生まれた新品種「春峰(しゅんぽう)」を紹介したい。
春峰は、果樹試験場のような公的機関により開発されたものではなく、みかん農家が考案し生み出した品種。清見と水晶文旦(ザボンと呼ばれることもある)を人為的に交配させ、収穫された実の中から選抜したものを育成し、1994年に登録された。
サイズは200㌘~250㌘と温州みかんと比べ大きめのサイズ。文旦譲りなのか、やや縦長の形をしている。果皮は張りがありしっかりした硬さがあるが、手で剥くことができる程度。水分が多く、剥くと爽やかな香りが広がるのが特徴。
糖度は10度前後と高くないが、酸味が低いために甘さが感じられる。種が少なく、じょうのう(袋)も薄いため食べやすく、八朔のようなさっぱりした味わいがある。
農水省が公表している2018年産特産果樹生産動態等調査(21年2月公表値)によると、全国の収穫量は35㌧程度。前号で紹介の「たまみ(80㌧程度)」と比べても、希少性のある品種といえる。主な生産地は和歌山県(57%)、大分県(43%)で、和歌山県内の主要な産地は海南市と記載されている。
みかん農家による創意工夫から生まれた春峰。収穫期は1月下旬から3月ごろ。今の時期は流通していないが、来年の春柑橘シーズンにはぜひ食べてみてほしい。(次田尚弘/和歌山市)