コロナワクチンはいつ打てるのか? ― 戦略の見直しを

岸本 周平

短期集中と銘打った政府の4月25日からの緊急事態宣言は効果がなく、結局、対象地域を増やして期限も延長されました。もはや、政策の体をなしていません。通常の生活を取り戻すため決め手となるワクチン接種も遅れています。
連休明けの段階で、和歌山県の医療従事者の二回目ワクチン接種率は約3割。65歳以上の高齢者について一回目打った方は4%です。5月中には高齢者の7割に対応するワクチンが市町村に供給されるとのことですから、今後の進展に期待したいと思います。
しかし、和歌山県だけ接種が遅れているわけではありません。日本全体が先進国の中で大きく取り残されています。5月上旬のOECD37か国の一回目接種状況。一位のイスラエルは63%、続いて英国52%、米国44%と続き、日本は最下位の2%です。もはや先進国と言えない状況です。
確かに、自国でワクチン開発ができないという産業競争力の低下に問題はあります。しかし、評判の悪いトランプ前大統領ですら、ワクチン開発に1兆円を投じています。その時、日本はGoToキャンペーンに2兆7千億円の予算を組みました。つまり、戦略的な発想ができなくなっているのです。自国でワクチンが開発できないなら、イスラエルのように輸入ワクチンで勝負することを早く決めて、ライセンス生産を始めることもできたはずです。
しかし、大事なことは、これから輸入されるワクチンの接種を急ぐことです。米国では、薬局で薬剤師さんが注射しています。
英国では医療資格がなくても一定の研修を受けた「注射ボランティア」が活躍。日本でも大胆な規制緩和とボランティアの協力が必要です。
和歌山市内では集団接種が遅れ、これまで個別接種の病院やクリニックの医師の皆さんの心意気に頼ってきました。大きな病院やその系列の高齢者施設では効率的な接種も可能でしょうが、クリニックではたいへんです。アナフィラキシー対策を考えると酸素ボンベなどの装置や特別の薬の準備が必要な上、30分間の待機は小さな待合室では難しいため、一日にわずかしか打てません。アナフィラキシーへの対応も含め、安全に効率よく接種を進めるためには、一日も早く集団接種の会場と人員配置の準備をする必要があります。政府にも積極的な支援をお願いしていきます。

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