紀州の名刀がずらり 6日まで県立博特別展

県立博物館(和歌山市吹上)で6月6日まで、紀州の名刀などを集めた特別展「きのくに 刀剣ワールド」が開かれている。刀剣をメインテーマにした特別展は、同館では39年ぶり。

紀州に関わりのある刀・太刀など重要文化財6件6点、県指定文化財2件2点を含む48件130点を展示。県指定文化財の「刀銘於南紀重国造之(なんきにおいてしげくにこれをつくる)」は、腰の部分が直線的な刃文(細直刃)で、刃先に向かってゆったりと寄せる波のような刃文(湾れ刃)が見られる。江戸期を通じて紀伊徳川家に11代にわたり仕えた文珠重国家の初代が手掛けた。初代重国は家康に仕え、その死後は息子で紀伊徳川家初代藩主頼宣に従い紀州入りするなど、腕の良い刀工であったことがうかがい知れる。

「脇指銘大和守安定」は丸い碁石が連続したように見える(互の目刃)刃文。一族が牟婁郡富田浦(現白浜町)付近の出であるといわれ、大和守安定の作品はよく切れる「業物(わざもの)」として江戸の武士に人気があったという。

本展では、拵(刀を入れる木製の入れ物)を装飾する刀装具も展示。江戸中後期には、柄の装飾具に金を使用したり、細かい細工が施されるなど泰平の世、刀は武士の身分を現す道具となる中、武士たちがいかにおしゃれを楽しんでいたかが分かる。

この他、頼宣が紀州東照宮に奉納したという刀身の反りに平安・鎌倉期の特徴を持つ太刀(ともに重要文化財)や紀伊徳川家の重臣が所有していた刀などを展示している。

市内に住む辻本杏ちゃん(8)は、「人気があったという刀がすごい。持ってみたいと思った」と話していた。同館の学芸員竹中康彦さんは、「一本、一本同じ刀鍛冶でも微妙に違う。外形を一つひとつ比べてもらうと楽しめる」と話している。

問い合わせは同館(℡073・436・8670)。

 

「刀銘於南紀重国造之」に見入る来場者

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