県人口5年で4万人減 国勢調査の速報値

和歌山県は4日、昨年の国勢調査結果の速報値を発表し、10月1日現在の県人口は前回(2015年)より4万546人少ない92万3033人となったことが分かった。国勢調査による前回比の人口減が4万人を超えたのは初めてで、減少率も過去最大の4・21%だった。一方、世帯数は2123世帯(0・54%)増の39万4455世帯で過去最多を更新した。

国勢調査による県人口は、1985年の108万7206人をピークに減少に転じ、95年には経済対策に伴う公共投資の増加や阪神淡路大震災の影響などによる一時的な転入超過があったものの、その後の調査は5回連続で減少している。

2015~20年の5年間の人口増減を市町村別にみると、岩出市、上富田町、日高町の3市町のみ増加し、他の27市町村は減少。特に東牟婁郡など県南部の減少傾向が強い。

増加した3市町はいずれも近隣市町からの転入者が多く、増加率が高い順に上富田町1・67%(251人)、岩出市1・01%(541人)、日高町0・42%(32人)だった。

減少率が高かったのは古座川町12・24%、九度山町11・83%、高野町11・43%、すさみ町10・66%、紀美野町10・23%の順。いずれの町も出生数から死亡数を引いた自然減が多い。減少数では、和歌山市が7296人で最も多く、田辺市4864人、紀の川市3760人、海南市3460人と続いている。

人口減の一方、世帯数は増加傾向が続いており、原因として、核家族化、高齢者を中心とする単独世帯の増加などが考えられる。

1世帯あたりの人数は1950年以降、減少傾向が続き、今回は平均2・34人(前回比0・12人減)。ピークだった30年、35年の4・68人の半分まで落ち込んでいる。

県は2015年に「県長期人口ビジョン」を策定し、「高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態」を実現するため、60年の県人口を70万人程度確保するという目標を掲げている。

同ビジョンでは、何も対策を講じなかった場合の20年の推計人口91・7万人に対し、政策効果を加味した推計を93・4万人としている。今回の速報値は計画の人口を下回っているが、6000人程度の減少を抑制したことになる。

今回の国勢調査の確定値は、11月に総務省統計局から公表される予定。

国勢調査による県の人口および世帯数の推移

国勢調査による県の人口および世帯数の推移

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