県内平均は29年連続下落 21年路線価

相続税や贈与税の課税額を算定する基準となる土地の評価額を示す、2021年分の路線価(1月1日時点)が1日、全国の国税局、税務署で公表された。標準宅地の増減率の平均は近畿2府4県全てで前年より落ち込み、下落率は和歌山県が最大タイの1・2%(前年1・1%)で、29年連続の下落。県内7税務署の最高路線価は、和歌山など3署で横ばい、海南など4署で前年より下落した。

県内の最高路線価は、25年連続で和歌山税務所管内の和歌山市友田町5丁目(JR和歌山駅前)となり、1平方㍍当たりの価格は8年連続横ばいの36万円。駅周辺での大規模分譲マンションや商業ビルの建設などでにぎわいが期待されたが、新型コロナウイルスの影響を受けてテナント賃料が回復しないことなどから、横ばいとなったとみられている。

和歌山の他、御坊、田辺両署の最高路線価は横ばい、海南、新宮、粉河、湯浅の4署は下落し、下落率は湯浅署の3・9%が最大だった。

湯浅署に次いで下落率が大きかったのは、海南署管内「海南市名高(中央通り)」の3・8%。JR海南駅前の商店街に位置し、郊外や幹線道路沿いの商業施設への集客の拡散などで収益性の低下が続き、近隣に市民交流施設「海南ノビノス」が完成したものの、商況の改善にはつながっていないとみられている。

粉河署管内の「岩出市中迫(国道24号)」は1・3%の下落。周辺の宅地開発や人口増により、出店の需要は底堅さがあるが、昨年9月に商業施設「オークワミレニアシティ岩出」が閉店し、集客が分散したことが下落につながったとみられている。

国税庁は今後、年の途中で大幅に地価が下落した地域が確認された場合は、路線価の補正を検討する。昨年はコロナ禍の影響で、大阪市内の一部で補正が行われている。

路線価は国税庁ホームページに掲載しており、全国の国税局、税務署でパソコンから閲覧もできる。

県内7税務署の最高路線価と変動率は次の通り。

和歌山=和歌山市友田町5丁目(JR和歌山駅前)、36万円、横ばい▽海南=海南市名高(中央通り)、7万7000円、3・8%減▽粉河=岩出市中迫(国道24号)、7万8000円、1・3%減▽御坊=御坊市湯川町財部(国道42号)、5万3000円、横ばい▽田辺=田辺市新万(市道中万呂礫坂線)、9万4000円、横ばい▽新宮=新宮市新宮(市道丹鶴町中央通線)、6万5000円、1・5%減▽湯浅=有田川町明王寺(国道42号)、4万9000円、3・9%減

 

25年連続で県内最高価格のJR和歌山駅前

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