開催国の責任と醍醐味 五輪成功へ、関係者に敬意

石田 真敏

ワクチン接種について、説明不足から混乱を招いていることは誠に遺憾です。一言で言うならば、地方自治体や医療関係者のご尽力で想定以上に接種が進み、需要と供給のバランスが崩れたということです。
ワクチンは6月までに1億1400万回分が輸入され、今後も順次輸入が進み9月末には合計2億2千万回分、すなわち1億1千万人分となります。これで、希望する国民全てにワクチン接種をするに充分な量となり、10月から11月にかけて接種完了の見込みです。
未知のことでもあり今までのコロナ対策では、反省すべき点も多々ありました。これらを踏まえ先ごろ閣議決定された骨太方針(来年度に向けた政策方針)では、感染症で顕在化した課題も明記されています。
たとえば、①強力な体制と司令塔の下での推進、②国と地方、また自治体間の役割分担の明確化、③病床や医療人材の確保を国や地方自治体が迅速に要請・指示できる仕組みの構築、④平時と緊急時で医療体制を迅速かつ柔軟に切り替える仕組みの構築、⑤国産治療薬・ワクチンの研究開発・生産体制の支援など、です。
以上のような取り組みによって、一刻も早く平穏な日々を取り戻したいものです。ただ、ウイルスが消滅するわけではないだけに、重症化を防ぐために、またワクチン接種できない方々を守るためにも、一人でも多くの方々にワクチン接種をお願いします。
さて、いよいよ東京オリンピックが始まりました。このコロナ禍の中で205もの国・地域が参加したことは、やはり「特別な舞台」だとあらためて感じました。
ほとんどの選手の皆さんは、小さい頃からオリンピック選手を夢見て、本当に長い間、苦しい練習に耐え心身を鍛え、厳しい競争を勝ち抜いて国・地域を代表するオリンピック出場を勝ち取られました。その並々ならぬ努力に敬意を表しますとともに、代表選手となられたことを心から祝福したいと思います。
今日までの厳しい鍛錬の成果を出し切って、素晴らしい競技を見せていただきたいものです。そして世界中の人々に、感動とスポーツの素晴らしさ、そして人間の無限の可能性を示し、パンデミックの時代を生き抜くための明日への希望と勇気を与えていただきたいと期待します。
一方で、大会招致に際し「復興を見てもらいたい」「子どもたちにあの感動をもう一度」などの声がありました。ただ、これらは日本の思いであり、より重要な大会を招致した国の本来の役割は、素晴らしい能力を備え、人生をかけて臨んでいる選手たちに万難を排し「特別な舞台」を準備し、その活躍を世界中の人々に伝えることではないでしょうか。
中止を訴える方々もおられますが、菅総理も発言されたように「やめることは一番簡単、楽なことだ」と思います。精一杯の努力で開催することが、世界に対する、そして選手に対する日本の責任だと思います。
残念ながら異例の無観客となりましたが、関係者やボランティアが万全の対策を講じて準備してきたことは、大いに意義のあることです。世界中の人々がテレビの前で歓喜し、スポーツの祭典を心から楽しみ、明日への活力を得ていると思います。そして日本では世界最高峰のプレーを大パノラマ的に連日観戦できることは、まさしく開催国ならではの醍醐味であり、大いに堪能したいものです。私も小学6年生でテレビ観戦を通じて前回の東京五輪に感動したことを覚えています。
関係者のご尽力に心から敬意を払いつつ、大会の成功を祈念しています。

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