新和歌浦にマグロ現る? 専門家もびっくり

和歌浦湾に面した和歌山市新和歌浦の網代浜のビーチに28日、ビンナガマグロと見られる魚が迷い込み、地元住民を驚かせた。

旅館・木村屋の木村尚喜さんらによると、見つかったのは、重さ約20㌔、長さ約1㍍のビンナガマグロ(通称トンボマグロ)。午後2時ごろ同旅館下の浜で、大きな黒い魚が泳いでいるのを遊泳していた男性が発見。サメだと思い、急いで同旅館の敷地内にあるバーの従業員に声を掛けた。近くに寄ると、弱った様子で泳いでいたため、浅瀬に追い込み観察。力なく尾ビレをパタパタしプカリと浮かんできたので、砂浜に引き上げた。

ブリかカツオだと思っていた従業員は「食べられたらいいな」と、同旅館に担いで運び、初めてビンナガマグロだと知ったという。

県立自然博物館(海南市船尾)魚類生態専門の学芸員、國島大河さんによると、ビンナガマグロは陸から離れた沖合で回遊している魚で、同館が把握する中では、和歌山市で確認されたのは初めてだという。専門家も首を傾げる珍客はその後陸揚げされ、おいしく調理された。

さばいた同旅館の木村喜厚社長(64)によると、身はすでに温かくなっており、生で食べるには適さない状態だったため、解体後は火を入れ、縦35㌢、横25㌢、深さ10㌢程のタッパー2個分の水煮が出来上がった。今後味をつけるなどして食べる予定だという。カマの部分は、引き上げたバーの従業員らが焼いて味わった。

同地で育った木村社長にとっても初めてのことだったといい、「不思議。迷い込んだのかな」と話し、國島さんは「南方種の魚が流れ着くことはまれにはあるが、泳ぐ力の弱い幼魚ばかり。たまたま迷って来たのか、弱って流されて来たのか。現物を見たかったですね」と夏のビーチに現れた珍客に思いをはせた。

水煮になったビンナガマグロ(木村尚喜さん提供)

水煮になったビンナガマグロ(木村尚喜さん提供)

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