日本一の有田川町「ぶどう山椒」 高まる需要と産地の危機

二階 俊博

土用丑の日に頂くうなぎは夏バテを防ぐとともに、本格的な夏の訪れを告げる風物詩でもあります。
このうなぎに絶対に欠かせないのが、私たちのふるさと和歌山が誇る山椒です。清涼感いっぱいの独特の良い香りは食欲をかき立て、さまざまな食材と調和し、食をより豊かなものにしてくれます。
中でも、有田川町(旧清水町)が発祥の「ぶどう山椒」は江戸時代末期に同町遠井(とい)地区で発見されて以来、地元で栽培されるようになり、今では日本一の生産量を誇る、まさに和歌山の宝です。
国内市場での評価はここ数年どんどん高まり、うなぎやちりめん山椒にとどまらず、地元ではビールやジンにも活用が広がっています。また、有田川町と包括連携協定を結んでいる龍谷大学の協力のもと、オリジナルカレーが発売されるなど、面白い取り組みも始まりました。また、食材としての活用にとどまらず、その効能に製薬会社が関心を寄せ、大量に発注いただいていると聞いています。
また、世界からも熱い視線が注がれています。特にヨーロッパ各国の有名なパティシエはチョコレートやジェラートに「ジャパニーズペッパー」として使用し、高い評価を受けています。チーズとの相性も抜群とのことです。
このように、有田川町で長年にわたり受け継がれてきた、「ぶどう山椒」は日本国内にとどまらず近年は海外からも注目を集め、時には供給が追い付かないほど、需要が高まってきています。
一方で、今、産地は深刻な危機に直面しています。
生産者の高齢化です。町内にある山椒農家の皆さんの平均年齢は79歳に達し、若い後継者の育成を急がなければ将来、生産が途絶えてしまう可能性があるのです。
私はまずはこの現状を県民の皆さんに知っていただきたいと思います。
行政はこの課題に対し、有田川町・中山正隆町長や和歌山県・岩本和也農林水産部長を中心として、懸命に取り組んでいただき、新たな就農を受け入れる制度や環境整備を着実に進めていただいています。私も関係者としっかり連携して、この取り組みを全力で後押ししたいと思います。
そして、有田川町の若手の皆さんの間では新たな取り組みが始まっています。その名も「ぶどう山椒+X」これは新たに山椒栽培に携わる方に、山椒栽培と他の仕事(X)を掛け持ちして、収入を向上させることにより、豊かな地方での暮らしを実現するという提案です。
「山椒農家の繁忙期は毎年2回の収穫時期です。それ以外の時期は桑の葉茶や庭師の仕事をしています」と語るのは、約10年前にUターンして今や町内で最大の生産者である、きとら農園の新田(しんだ)清信さんです。
また、同町で70年以上の歴史を持つ竹上木材株式会社の竹上光明さんは「林業と山椒は作業内容や機械操作面で相性が良い」と新規参入者を歓迎しています。
あらゆる地方が人口減少で課題を抱えるなか、代々受け継がれた、日本一のふるさとの宝を守ろうとする関係者の姿を少しでも多くの方に知っていただきたいと思います。
そして応援をよろしくお願い致します。
私も全力でサポートすることを誓います。

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