【特集】全国の頂点目指して 智弁和歌山

目指せ!全国の頂点 智弁和歌山

9日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第103回全国高校野球選手権大会に智弁和歌山が出場する。4大会連続25回目の出場となり、6日目に宮崎商と初戦を迎える。和歌山大会の戦いぶりや注目選手を紹介する。

甲子園出場を決め笑顔の選手たち

甲子園出場を決め笑顔の選手たち

初戦は宮崎商と

「春の選抜出場を逃し、悔しかった」。和歌山大会で優勝を果たした直後、宮坂厚希主将は報道陣の取材にこう語った。昨秋は県2次予選の準決勝で市和歌山と対戦。終盤に逆転を許し4―5で敗れた。翌日の3位決定戦で向陽に大勝し近畿大会に出場したが、近畿大会の準々決勝で市和歌山と再び激突し、相手のエース・小園健太の前に打線が振るわず0―2で敗れた。2018年から続いていた選抜の連続出場も途切れてしまった。

大きな悔しさを味わった選手たちはさらに練習に励み、今春の県予選では和歌山東、市和歌山を破って優勝。決勝では秋に苦しめられた小園を攻略し、中谷仁監督も「大会を通じて僅差の試合をしっかり勝ち切れた」と手応えを口にした。近畿大会ではエース・中西聖輝が神港学園(兵庫)を完封。準決勝では選抜出場校の大阪桐蔭を相手に1点差の接戦を演じた。

迎えた夏の和歌山大会。初戦はプロ注目左腕・中川大雅を擁する箕島が相手。多くの高校野球ファンが球場で試合の行方を見つめる中、序盤に中川を攻略すると、その後も着実に加点。終盤には中西の本塁打などで粘る箕島を突き放した。

星林との3回戦は打線が爆発し、5回コールド勝ち。準々決勝では初芝橋本に9回に追い付かれ、打線も相手先発・川端の前に苦しんだが、延長13回に途中出場の小畑虎之介が犠飛を放って勝利をもぎとった。

準決勝では和歌山東に先制を許すも、すぐに追い付き、スクイズや本塁打で得点を重ね、快勝。決勝では後半に打線が相手先発・小園を攻略し、4―1で市和歌山を破り、和歌山39校の頂点に立った。

投手陣は質量充実

 

安定感抜群のエース中西㊧、決勝で好投した伊藤

安定感抜群のエース中西㊧、決勝で好投した伊藤

ことしも投手陣は質量ともに充実している。1年生から公式戦の登板を重ねてきたエース・中西は140㌔台の直球、スライダーなどで勝負する本格派右腕。制球が良く、安定感がある。和歌山大会では前半が先発、後半は救援で活躍した。決勝では準決勝までの全4試合をコールドで勝ち上がった市和歌山の強力打線を相手に好投。最終回は相手の平林、松川、田中の中軸を三者凡退に抑え込んだ。

中西以外の投手もレベルが高い。和歌山大会決勝で先発した伊藤大稀は140㌔台の直球やチェンジアップを武器に7回途中まで好投。準決勝の和歌山東戦では、左腕・高橋令が8回を被安打4、1失点に抑え、危なげない投球を見せた。初芝橋本戦で先発した塩路柊季も控えており、失点を計算できる投手がそろっている。

特筆すべきなのが奪三振能力の高さだ。延長13回にもつれこむ死闘となった初芝橋本戦では、塩路、伊藤、中西の3投手が前の試合で8点を奪った相手打線から20三振を奪ってみせた。甲子園での投手起用にも注目だ。守備は捕手・渡部、2塁・大仲、遊撃・大西、中堅・宮坂のセンターラインを中心に堅く、安定した守りで投手陣を支える。

切れ目のない打線

 

打線の軸として期待の德丸㊧、俊足巧打に注目の宮坂

打線の軸として期待の德丸㊧、俊足巧打に注目の宮坂

打線は力のある打者がそろう。1番の宮坂は下級生の頃からレギュラーとして出場しており、経験値が高い。俊足巧打を武器に打線を勢いづける。2番の大仲勝海は和歌山東戦で3安打。準々決勝、決勝で勝ち越し打を放つなど勝負強さも光る。3番の角井翔一朗は恵まれた体格から力強い打球を放つ。準々決勝、準決勝でいずれも2安打を放った。

4番の德丸天晴はチーム1の長打力を誇る強打者。1年春から4番を任されており、打線の軸として期待がかかる。決勝では2四球を選び、単打で好機を広げるなど、チーム打撃を見せた。5番以降を打つ岡西佑弥、渡部海、髙嶋奨哉もパンチ力がある。9番の大西拓磨は俊足で小技もうまく、準決勝ではスクイズを決めた。下位打線から上位へのつなぎ役としても期待がかかる。

和歌山大会では選手層の厚さが目立った。初芝橋本戦では途中出場の須川光大が2打数2安打。準決勝では8回に代打で登場した石平創士が試合を決定づける3点本塁打を放ち、チームを盛り上げた。甲子園ではチーム一丸となり、全国の好投手に立ち向かう。

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