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和歌山さんぽみちプロジェクト

糖度高く香り豊かな「ゆら早生」

前号では、世界最大級の柑橘(かんきつ)で1玉2千円を超える「晩白柚(ばんぺいゆ)」を取り上げた。暦の上では立秋を迎え、果物店や産直市場ではハウスみかんの販売が盛んになってきた。今週は日高郡由良町で発見され、ハウスみかんの定番ともいえる存在となってきた「ゆら早生(わせ)」を紹介したい。
ゆら早生は「宮川早生」から枝変わりした品種で、主に9月末から10月にかけて出回る「極早生みかん」の一つ。1985年に生まれ、地元の農家の手により改良が加えられてきた。
いわゆる「運動会みかん」と呼ばれる果皮に青みが残り、小玉で酸っぱいイメージがある極早生みかんであるが、由良早生は糖度が高くほのかな酸っぱさの中にしっかりした甘味が広がる品種。果皮はやや硬めであるが、これまで取り上げてきた春柑橘とは比べ物にならないほど薄い。じょうのうも薄く、むかずに気軽に食べられるのも魅力。
輪切りにしてみると、みずみずしいオレンジ色の果肉と、柑橘特有の酸っぱい香りが広がる。果実は5~6㌢で温州みかんのSサイズ程度が主で、小さい方が糖度が高く、濃い味を楽しむことができる。冷蔵庫で冷やして食べるのもお勧め。
通常の露地栽培のものは9月下旬ごろから出回るが、今の時期に店頭に並んでいるのはハウス栽培のもの。露地栽培と比べ生産量が限られていることもあり、1玉あたり100円~150円と高級品。お中元やお盆の供え物としての需要もあり、この時期に流通が盛んになる。
秋を感じさせてくれる極早生みかん。暑さが厳しい毎日であるが、一足早く、涼しい秋の頃を想像しながら食べてみては。
(次田尚弘/和歌山市)