智弁が21年ぶりV 系列校対決制し夏の頂点

第103回全国高校野球選手権大会は29日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で決勝が行われ、智弁和歌山が系列校の智弁学園(奈良)との「智弁対決」を9―2で制し、21年ぶり3回目の優勝を果たした。新型コロナウイルスの影響で2年ぶりの開催、雨により過去最多の7回もの日程順延など、異例ずくめの大会で全国の頂点に立った。

【決勝】

智弁和歌山 4 0 0 0 0 1 1 2 1 9
智弁学園 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2

〔和〕伊藤、中西―渡部〔智〕西村、小畠―植垣▽本塁打=渡部(和)▽3塁打=谷口(智)▽2塁打=宮坂、德丸、渡部、髙嶋(和)前川(智)

決勝は序盤から試合が動いた。1回表の智弁和歌山の攻撃は、先頭打者の宮坂がいきなりセンターへの2塁打を放つと、1死1、3塁から4番・德丸のセンターへの犠飛で先制。さらにチャンスを広げ、渡部、髙嶋が連続適時打で続き、一挙4点を奪った。

2回裏に2点を返され、4回裏に無死1、2塁となったところで智弁和歌山は先発・伊藤からエースの中西へと継投。犠打で1死2、3塁のピンチを迎えたが、連続三振で後続を打ち取り、無失点で切り抜けた。

6回表は宮坂、7回表は髙嶋の適時打で1点ずつを追加。8回表は2死1、3塁から德丸が2点適時2塁打を放ち、9回表には渡部のレフトスタンドへの本塁打で9―2と突き放した。

投げては、中西が6回を8奪三振、無失点の好投で智弁学園打線を抑え、最後の9回裏は三者凡退に打ち取った。

智弁和歌山は今大会、初戦の相手だった宮崎商(宮崎)が新型コロナ感染者の発生により出場を辞退したため、不戦勝でスタート。実戦が和歌山大会決勝から1カ月以上空き、難しい調整を余儀なくされたが、決勝前の4試合全てで2桁安打を記録した猛打に加え、1試合平均の失点が2点未満の安定した投手力、守備力を発揮。並み居る全国の競合の中でも際立った総合力を見せつけた。

智弁和歌山の中谷仁監督は「本当にうれしい。甲子園を目指せなかった苦しい去年を経て、選手たちが努力してきた結果だと思う。智弁学園は強力打線なので、とにかく打ち勝たないと優勝はないと思って、1回から覚悟を決めていった」と話した。


智弁和歌山の優勝を受け、仁坂吉伸知事は「大きな感動を与えていただき、ありがとうございます。この栄誉は、選手の皆さんが積み重ねてきた努力と、学校を挙げての応援、そして長きにわたる関係者の御尽力の賜物と、心から拍手を送ります。また、本県の高校野球においては春夏通算13回目の全国制覇となります。『野球王国・和歌山』として、益々の活躍を大いに期待いたします」とのコメントを発表。

和歌山市の尾花正啓市長は「平成12年の夏の選手権大会での優勝以来、春夏通算で4度目となる全国制覇は、日ごろの厳しい練習とたゆまぬ努力のたまものであり、わたしたち和歌山市民にとっても大変誇らしいこと。選手の皆さんが深紅の大優勝旗を持ち帰ることは大変喜ばしく、中谷監督を始めチームを支えてこられた多くの関係者の皆様に、心から感謝とお祝いを申し上げます」とコメントを出し、祝福した。

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