自生は希少 玉津島神社にオオタニワタリ

和歌山市和歌浦中の玉津島神社の境内で古代の書物にも登場するというシダ植物、オオタニワタリ(チャセンシダ科)が青々とした葉を茂らせている。

オオタニワタリは、温暖な気候で成育し、日陰で湿気の多い場所を好む常緑植物。現存する日本最古の書物『古事記』に出てくる御綱柏(みつなかしわ)がそうだともいわれている。県立自然博物館の内藤麻子学芸員によると野生の状態で自生しているものは数が少なく、県の絶滅危惧種に指定されているが、園芸植物としては流通しているという。

同神社では、境内2カ所に計23本が植えられ、葉をめくると、裏には胞子嚢が線状にびっしり付いている。約2年前、同市内の男性がたくさんの人に見てもらいたいと、生育環境が整っていることから奉納したという。

名勝和歌の浦玉津島保存会の渋谷高秀会長は、「こういう植物が境内に生えているのは知らなかった。ただ不思議な植物だなとは思っていた」と話していた。

境内のオオタニワタリ、円内は葉の裏側(渋谷会長提供)

境内のオオタニワタリ、円内は葉の裏側(渋谷会長提供)

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