40年のありがとう 和歌山マクドナルド物語<4>

第1世代オーナーとして

今田貞明オーナー

大阪府出身。建設業を営む父の背中を見て育ち、大阪芸術大学で建築を学んだ。卒業後は、修行目的で親戚の建設会社に入社。結婚し、26歳の誕生日には長女が生まれた。家族が1人増え、幸せの絶頂ともいえるこの日、なんと会社が倒産し、職を失った。

これが人生の大きな転機となり、現在まで続く日本マクドナルド㈱と出合うきっかけになった。当時、同社は「日本一の高給」をうたっており、「将来独立できる」という魅力にも引かれて面接を受けた。面接官の人柄に引かれ、「この人が薦めるなら間違いない」と入社を決めた。

店長になるまでに要した5年間は、忙しさから十分なトレーニングなく任せられ失敗するなど、辛いと感じる体験もあった。店長になってからは「優秀店長」に選ばれ、夫婦で香港や北京など海外に招待されるなど、ありがたい経験もさせてもらった。その後、大学で学んだ建築学を生かせる設計管理部に異動し、「ぶらくり丁店」の改装も手掛けた。

42歳の時、念願かなって独立。当時、「夫婦ペア」が独立の条件だったため、妻と二人三脚でオーナーに。仕事でも家でもほぼずっと一緒に過ごしたこの経験が影響してか、今でも周りから「ニコイチ」と言われるほど仲が良い。

和歌山に来たのは10年前。ベテラン気分で臨んだが、56歳にしてまたゼロからのスタートを切った。160人もの従業員の名前を覚えるところからのリスタートは大変だったが、これまでの経験から「自分がされて嫌だったことはしない、されてうれしかったことをしよう」と心に決め、社員には2年に1度、海外研修を用意。現地店舗の視察はもちろん、島国にいると気付けないような発見も経験してほしいと願う。

創業者である藤田田氏のもとで育った第1世代のオーナーとして、「人を大事にし、人を育てることでウィンウィンの関係を築く」という考え方を大切に、今後もみんなを引っ張っていけるだけの魅力ある人を育てていきたい。

今田オーナーの1号店「26号島橋店」

 


プロフィル
今田貞明(65)
【運営店舗】26号島橋店▽大浦街道店▽イオンモール和歌山店▽次郎丸店