違い尊重、対等な関係を デートDV防止講座

和歌山県立きのくに青雲高校(和歌山市吹上)で10日、暴力だけでなく、言葉や束縛などの支配によって交際相手を傷つける「デートDV」を防止・啓発するための出前講座が開かれ、1年生の約50人が、互いを大切にする恋愛について学んだ。

同講座は2010年度から、県の男女共同参画センターが高校を中心に、中学校や支援学校などでも毎年実施しているもので、本年度は8回実施する予定。

4回目のこの日、立命館大学大学院で非常勤講師を務め、DV加害者教育プログラム(NOVO)の主宰、伊田広行さん(63)が講師となり、デートDVは暴力だけでなく、相手の携帯電話を勝手に見たり、すぐに電話に出ないと怒ったりといった束縛行為も含まれることを説明した。

伊田さんは、ハートを描いた紙を丸めた後、広げながら紙についたしわを見せ、「一度ぐしゃぐしゃになった紙はいくらのばしてもしわは残ってしまう。心の傷と同じ」と伝え、デートDVを含め、いじめや虐待などによる心の傷の深さを訴えた。

理想の関係性については、卵を例に挙げて説明。伊田さんは、二つの卵が「スクランブルエッグ」になる状態は、それぞれの卵の区別がつかず、共同体になっていると指摘。「共同体というと一見いいように思えるかもしれないが、恋人や家族、親友であっても、それぞれが〝ゆで卵〟として違いを尊重するべき」と話し、「相手と対等に意見を言える関係になるためにも、〝ゆで卵〟になっていくことが大切」と伝えた。

同校の吉田佳代さん(16)は、「相手を自分と考えて混ざってしまって分からなくなるスクランブルエッグの話が印象的だった」、「言葉の暴力など、自分もする可能性があるので、気を付けながら恋愛や友達関係のことを考えていきたい」と話した。

 

ハートが描かれた紙を使い、傷ついた心が元に戻らないことを説明する伊田さん

 

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