北高の南さんが優勝 県英語スピーチ大会

6日に開かれた「第18回和歌山県高校英語スピーチコンテスト」で、和歌山北高校北校舎の1年生、南ラッセルさん(15)が優勝した。同コンテストで同校の生徒が優勝するのは初めて。南さんは東京2020パラリンピック開会式のテーマでもある「We Have Wings(私たちには翼がある)」を題名に選び、自身の体験から得た思いや夢を重ねてスピーチした。

コンテストには県内の高校生23人が出場。新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年同様、対面ではなく、スピーチを録画したビデオで審査が行われた。

南さんは、日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、小学5年生までフィリピンで育った。フィリピンの公用語であるタガログ語と英語、日本語の他、出身地である同国のミンダナオ島で話されている言語を含め、4言語を話す。

南さんがタイトルにした「We Have Wings」は、パラリンピック開会式では「勇気を出して翼を広げることで、思わぬ場所に到達できる」といった意味が込められていたが、南さんのスピーチは、「私たちみんなが翼を広げられるでしょうか」と疑問を投げ掛けるところから始まる。

南さんがフィリピンに住んでいた頃、生まれつき両腕がない友人と交わした会話にふれ、義手や義足を作るのには高額な費用がかかるため、発展途上国に住む障害者たちは、パラリンピックなどで目にするような先進的な用具を手に入れることが難しい現実を指摘。

数年前、インターネットでロボットについて知り、「ロボットエンジニアになる」という夢ができたことや、発展途上国に住む全ての障害者にとって手の届くロボットの人工装具を作り、「私たちには翼がある(We Have Wings)」と言ってもらえるようにするといった熱い思いをスピーチにしたためた。

南さんがコンテストに出場しようと思ったのは「『全ての人々を助けるようなロボットを作りたい』という、自分の思いや考えを伝えたかったから」という。

審査員からは、興味深いテーマや内容、発音、リズミカルでテンポの良いスピーチが高く評価され、見事優勝に輝いた。

同校で初となる快挙をたたえて12日、校長室で表彰式が行われ、雜賀敏浩校長から南さんに賞状やトロフィーが贈られた。南さんを指導した同校の英語教諭、磯部有佳子さんも出席し、「ポジティブでパワーがある」と南さんの人柄をほめたたえた。南さんは優勝について、「うれし過ぎて泣いた」と発表時を振り返り、「ロボットを作りたい気持ちがより強くなった」と決意を新たにしていた。

南さんは12月に京都で開かれる、同コンテストの近畿大会に出場する。

賞状やトロフィーを手に雜賀校長㊧、南さん、磯部教諭㊨

賞状やトロフィーを手に雜賀校長㊧、南さん、磯部教諭㊨

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