大地震に備え連携強化 4消防本部が合同訓練

119番通報の受け付けなどの消防指令業務を共同運用している和歌山市、岩出市、紀の川市、海南市、紀美野町の4市1町消防本部は16日、大規模地震の発生を想定した合同訓練を、和歌山市森小手穂の市消防活動センターで行った。

4市1町は2015年4月、119番通報を一括受信する「和歌山広域消防指令センター」(和歌山市消防局内)の運用を開始。消防相互応援協定を結び、同年から毎年、合同訓練を実施している。

今回の訓練に参加したのは、和歌山市消防局、那賀消防組合消防本部、海南市消防本部、紀美野町消防本部の隊員合わせて約50人。マグニチュード6・8、震度5強の地震発生により共同住宅が倒壊し、逃げ遅れた住民が建物の中に閉じ込められているという想定で行われた。

倒壊現場に到着した隊員たちは、はしごで2階に駆け上がり、けが人を抱えるなどして救出。倒壊時に建物から投げ出された人、がれきの中に埋もれてしまった人がいることも想定し、ストレッチャーなどで搬出した。

隊員たちは救出・救護活動の手順を確認し合い、より迅速な活動を目指して連携強化を図った。

続いて、長期間の災害派遣時に重要となる後方支援施設の運用要領研修が行われ、感染症を持ち込まないためのデコンタミネーション(除染)の手順や、新型コロナウイルス対策として、隊員の居住スペースとなるテント内をビニールシートで区切ることなどの説明を受け、認識を共有した。

訓練を終え、和歌山市消防局長で指令共同協議会の吉野楠哉会長は「4消防本部が結束して、市民、町民の安心・安全を守れるよう取り組んでほしい」と講評し、隊員たちは真剣に聞き入った。

和歌山市消防局警防課の西本和人消防司令長(54)は「大規模災害になれば、地元の消防本部だけで活動するのはマンパワー不足となり、合同で活動するのは必須」と力を込め、「今回の訓練では連携して活動する難しさもあったと思うが、課題として次につなげていきたい」と話していた。

ストレッチャーでけが人を搬出する隊員ら

ストレッチャーでけが人を搬出する隊員ら

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