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和歌山さんぽみちプロジェクト

歴代藩主の品など展示「市立博物館」

前号では、信州そばに乗せられた、真田にちなんだユニークな「六文銭かき揚げ」をはじめ、上田市を代表するご当地グルメの数々を取り上げた。今週は、上田市の歴史を知ることができる「上田市立博物館」を紹介したい。
上田市立博物館は、上田城跡公園内にある。昭和4年、地元の有志らにより維持されていた旧西櫓を活用し、藩主らの遺物を展示したのが始まり。現在の建物は昭和40年に開館し、平屋の屋根から高さの低い2階部分が顔を出す、この地域の伝統である養蚕建築をモデルとした造りとなっているのが特徴。
館内には中世以降の歴史資料や民俗資料、自然資料などが収められ、上田城や上田藩に縁のある資料は1万8千点を超えるという。上田城の歴代藩主である真田氏、仙石氏、松平氏のよろいやかぶとをはじめ、養蚕事業に関する資料や古文書、染屋焼と呼ばれるご当地の焼き物などが多数展示されている。
なかでも、織田信長の遺品として松平氏に伝わったとされる鹿の革で作られた胴服は重要文化財に指定。染屋焼で作られた水瓶や壺、鉢などは重要有形民俗文化財に指定されるなど、この地ならではの歴史や文化にふれることができる。
また、近世の上田市の偉人を紹介する展示として、大正4年に世界で初めて人工的ながんの発生実験に成功し、現在にがん研究の礎を築いたとされる、同市出身の病理学者、山極勝三郎(やまぎわ・かつさぶろう)の記念室があり、がん研究に関する資料展示がされている。
地域の歴史に深くふれることができる施設。ぜひ訪れてみてほしい。(次田尚弘/上田市)