年末の火災に警戒を イオンで特別巡視と訓練

年末の慌しい時期を迎え、和歌山市民に火災などに対する意識を高めてもらおうと、和歌山市消防局北消防署(中芝清之署長)は13日、大型商業施設のイオンモール和歌山(同市中)で、高所救助訓練と中芝署長による特別巡視を行った。

和歌山市内ではことし、火災による死者が増加しており、一昨年は1年間で2人、昨年は4人だったのが、ことしは12日現在で12人に達し、今月だけで4人となっている。

買い物客が多くなる年末の大型店舗で火災などが発生した場合、多大な被害と人命の危険が予想されるため、年末火災特別警戒(15~31日)を前に、イオンの協力で訓練と巡視の実施となった。

高所救助訓練は立体駐車場で行い、同署救急救助第2班の署員ら30人が参加。駐車場の点検をしていた作業員が誤って端から足を踏み外し、宙づりになったとの想定で訓練した。

現場に駆け付けた署員らは、作業員役の男性に「痛いところはありませんか」などと声を掛けて状況を確認。一人が男性の頭上からロープで降下して男性の体をロープに固定し、地上では別の署員らが救助マットを用意すると、ゆっくりと男性を降ろし、担架で搬送した。

一連の訓練は迅速に進められたが、署員らは「遅い」「もっと早く」などと声を出し合い、緊迫した雰囲気に包まれた。

特別巡視は中芝署長、同署紀伊分署の乾嘉晃分署長ら7人が行い、施設内のゲームセンターや買い物客らが行き交う通路スペースなどを巡回し、消火器の設置状況、消火栓や大型店ならではのスプリンクラーなどの防火設備を点検。さらに、普段は従業員が使用しているバックヤードに設けられた非常用の避難通路や階段なども、一つひとつ指差しをしながら確認した。

中芝署長は「避難経路や消防設備に不備はなく、防火管理体制も徹底されている」と講評した上で、「年末の慌ただしさで火に対する注意がおろそかになりやすく、ついうっかりで火災が発生することがある。火元には気を付けるようお願いしたい」と呼び掛けた。

宙づりになった人を救助する消防署員ら

宙づりになった人を救助する消防署員ら

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