産科医療補償の改善を 親の会が要望書提出

分娩に関連して脳性麻痺となった子どもと家族の経済的負担を補償する産科医療補償制度について、制度改定の谷間で補償対象外となったままの子どもの親たちでつくる「産科医療補償制度を考える親の会」(中西美穂代表)が、制度の改善を訴えて活動している。11日には、会員らが公明党大阪府本部を訪れ、浮島智子、伊佐進一両衆議院議員に要望書を提出した。

同制度は厚生労働省が所管し、日本医療機能評価機構が運営。2009年の制度創設当時は、早産の子どもが発症した脳性麻痺は分娩とは無関係と考えられ、補償から除外するために28~32週未満児には個別審査基準が設けられていた。

32週以上の出産の場合、重度脳性麻痺であれば、先天性の要因など一部を除いて無条件に補償対象となるが、28~32週未満の早産の場合は、個別審査で出生時に低酸素状態が認められなければ補償が受けられなかった。

しかし、同様の病態であっても補償対象と対象外の子に分かれ、不公平感が生じていることなどから、研究と調査が進められた結果、低酸素状態の有無に関係なく脳性麻痺は発生することが判明。同機構は個別審査基準に医学的な合理性が認められないと発表し、22年出生児から個別審査の撤廃を決めた。

改定後の制度から見れば、09~21年に出生した子どもは不当に補償対象外とされていたことになるが、改定後も補償が受けられないままになっている問題を社会に訴え、改善するため、ことし夏に「親の会」が発足。

また、補償対象外となった約500人は分析が行われておらず、脳性麻痺発症の原因を分析し、再発防止に資することを掲げる制度の趣旨にも反していると訴えている。

子どもを連れて要望に参加し、浮島、伊佐両議員と面会した永島祥子さんは「バリアフリーなど障害児を抱える家庭は多くの経済的負担、精神的負担を強いられています」と過酷な障害児育児の実態を伝え、中西代表(和歌山市在住)は「経済的負担も軽減されないとなると、追い込まれるばかりです。医学的合理性がないと判断したのであれば、制度開始の09年にさかのぼり、補償をしていただきたい」と訴えた。

浮島議員は「苦労されているお母さんたちが、厚生労働省と対話さえできてないのは問題。当事者の声を届けるため、力を尽くしたい」、厚生労働委員会委員を務める伊佐議員は「制度改定は来年1月。早急に対応していく」と話した。

要望書を浮島議員(右から4人目)に手渡す中西代表(同3人目)

要望書を浮島議員(右から4人目)に手渡す中西代表(同5人目)

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