悠久の宇宙を漆で表現 橋爪靖雄さん作品寄贈

和歌山県海南市の漆芸家・橋爪靖雄さん(86)が17日、和歌山市に宇宙を表現した漆芸作品「悠久」を寄贈した。寄贈した作品は同市七番丁の和歌山城ホール2階展示スペースで公開されている。

橋爪さんは漆芸家の家に生まれ、1962年日展に初入選。84年に同工芸部門で県内初の特選を受けた。県文化奨励賞や県文化功労賞を受け、2015年には県名匠表彰に選ばれている。代表作に海南市の浄国寺本堂の蒔絵(まきえ)天井画などがある。

寄贈した漆芸作品「悠久」(2009年制作)は、縦70㌢、横160㌢。銀河系と地球をモチーフに、遥かな過去から未来へと続く大宇宙の悠久の歴史を表している。漆の技法の一つ「平文(ひょうもん)」を駆使し、鈴板と漆で立体的に銀河系を表現。宇宙空間は金の粉をまくなどさまざまな技法を用い、見る角度によって色彩が変化する。構成からデザイン、制作の全てを橋爪さんが手掛け、約1年かけて完成させたという。

同日、和歌山城ホールで寄贈式が行われ、尾花正啓市長は「素晴らしい作品。文化芸術の交流の場である城ホールで大事にしていく」と感謝。橋爪さんは「漆は味があってあたたかい。手間がかかるぶん良い。作品の立体的な曲線や技法を見てもらいたい。皆さんに楽しんでもらえれば」と笑顔で話していた。

漆芸作品「悠久」を囲み橋爪さん㊨と尾花市長

漆芸作品「悠久」を囲み橋爪さん㊨と尾花市長

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