一つひとつ大切な命 わかやまジビエ出前授業

和歌山県内で捕獲されるイノシシやシカの肉「わかやまジビエ」について学んでもらおうと、県農林水産部畜産課は12月から1月にかけて県内五つの小学校と一つの支援学校で出前授業を実施。21日には和歌山市立今福小学校(今福、土本悦子校長)で開かれ、5年生の児童ら約30人が県の取り組みについて学んだ他、シカの革を使ってキーホルダー作りを楽しんだ。

県では2017年度から地産池消の取り組みの一環で、小中学校などの給食食材としてジビエを提供しており、同課の橋本典和主任から「ジビエという言葉を知っていますか」と質問された児童たちは元気よく「給食で食べたことある」と答えた。

橋本主任は、県内のシカやイノシシなどによる農作物の被害金額は例年3億円ほどにまで上ると説明。実際にシカの捕獲に使われているわなに似たものを用意し、シカに扮(ふん)した職員がわなにかかる様子を児童らに見せ、「せっかくいただく命だからこそ、無駄にせずいろんなことに役立てていきましょう」と呼び掛けた。

県内で捕獲されたシカやイノシシの皮を活用し、財布やキーケースなどの革製品に加工する事業を行う、有田川町のLettMelodia(レタメロディア)の代表、中井謙次朗さん(35)が講師を務めるクラフト教室も開催。児童らは柔らかくしなやかなシカの革に触れながら、世界に一つだけのオリジナルキーホルダーを完成させた。

大城朱里(あかり)さん(10)は、「一つひとつ大切な命なんだなと改めて感じた。シカの革は柔らかくて気持ちがいい。ランドセルに付けて大事にしたい」とにっこり。

中井さんは、「和歌山にはスポットライトさえ当たれば、すごく良い素材はまだまだたくさんあるので、将来を担う子どもたちに見つけてもらって、これからの和歌山の産業が明るく面白くなっていけば」と期待を込めた。

柔らかくしなやかなシカの革などを触る児童たち

柔らかくしなやかなシカの革などを触る児童たち

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