列車内の不審者を想定 県警とJR西が訓練

全国で刃物などを使用した無差別殺傷等事件が連続発生していることから、和歌山県警とJR西日本和歌山支社は18日、走行中の列車内で不審者対応訓練を行い、連携の強化や対応能力の向上に努めた。列車を使った訓練は同支社で初めてとし、県警は2008年に化学テロを想定した対応訓練ぶりだという。

訓練はJR和歌山駅(和歌山市美園町)で実施され、県警生活安全部地域指導課と和歌山東署の署員、同支社の社員ら約50人が参加。訓練を前に、西日本旅客鉄道㈱理事の金岡裕之和歌山支社長が「学びにつなげるため、緊張感を持って臨んで」と呼び掛けた。

訓練は、署員が扮(ふん)する不審者が、列車内で刃物を振り回しながら歩き回るという想定で行われ、乗客役の署員や社員ら約20人が安全を確保するため、別の車両に避難。不審者を確認後、すぐに車内非常ボタンを押し、別の車両に移動後は不審者が入ってこないようにドアを押さえるなど、安全確保に努めた。

乗務員は車内非常ブザーによって緊急停車した後、状況連絡をしながら、迅速な判断で再び列車を進行させ、ホームに到着。ホームで待ち構えていた署員らは、乗客らが避難する中、刺股や盾を使って暴れる不審者の身柄を確保した。

訓練後、同課長の井上英喜警視は「訓練を糧に公共の安全安心に寄与して」と講評。市民に対しては、「まずは自分自身の安全確保が大切。異常をできるだけ早く察知するように、日頃から心掛けてほしい」と呼び掛けた。

同支社の南惠一調査役は、「列車を使った訓練は定期的に行うのは難しく、貴重な経験になった。いつどこで起こるか分からないということを念頭に、イメージトレーニングをしながら今後の対応に生かしてほしい」と伝えた。

同社は列車内での犯罪抑止効果を向上させるため、15日から在来線車両への防犯カメラの整備を開始。関空・紀州路快速は2023年度末までに整備率100%を目指している。

車両から降りた不審者役の身柄を確保する署員たち

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