WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

北山村特産、幻の柑橘「じゃばら」

前号では、果実が無いユニークな柑橘(かんきつ)「仏手柑(ぶっしゅかん)」を取り上げた。鹿児島と和歌山で生産されるも年々その数を減らす仏手柑。一方で、和歌山の特産品として生産量を増やす柑橘もある。今週は北山村特産の「じゃばら」を紹介したい。
「じゃばら」は日本で唯一の飛び地、北山村で生まれた柑橘。古くから北山村に自生し、鬼も逃げ出す酸っぱさから「邪払(じゃばら)」と呼ばれ、縁起物として利用されてきた。しかし、その扱いづらさからか、生産量が減少。わずか1本になってしまった木を村の特産品にできないかと村民が立ち上がり、栽培が本格化されたという。
じゃばらは「九年母(くねんぼ)」という柑橘と、温州みかんなどが自然交配してできた品種。果実を切ってみると種は少ないが、特有の何とも言えない、鉄分のような独特な香りが広がり、一般的な柑橘のようにそのまま食そうという気にはなれない。食べ方としては、果実を半分に切り果汁を搾りジュースとして飲むか、外皮をマーマレードなどにする方法がある。
独特な香りが特徴のじゃばらであるが、花粉症などアレルギー対策に有効であることは、昨今の報道などでご存じの方も多いだろう。じゃばらに含まれるフラボノイドというビタミンの中に含まれる「ナリルチン」という成分にアレルギーを抑制する効果があるという。他にも、クエン酸が多いことから血流改善や抗酸化作用があり、美容や疲労回復への効果があるとされる。
販売される期間は11月から2月ごろまで。ジュースなどの加工品として購入することもできる。まもなく花粉症シーズンの到来。じゃばらで対策してみては。
(次田尚弘/和歌山市)