加圧式給水車を補助へ ライフライン総点検で県

和歌山市の六十谷水管橋の崩落を受けて県内ライフラインの代替性や強靭(きょうじん)性を点検してきた県などのプロジェクトチームは3日、県庁で第3回会議を開き、報告書をまとめた。早期に取り組む事業として県は、断水時の効率的な給水作業に役立つ加圧式給水車の導入に向け、市町村への補助制度創設を検討していることを明らかにした。

プロジェクトチームは、細川一也県危機管理監をリーダーに、県と国、市町村、民間企業が参加し、電気・ガス・水道、公共交通、通信網、放送局、道路、河川などを昨年11月から点検してきた。

水道施設は、複数台で運転するのが原則の送水ポンプを除き、代替施設が少なく、水管橋は22カ所のうち14カ所で確保されていないが、代替施設の整備などは中長期的な取り組みが必要となる。

六十谷水管橋の崩落に伴う大規模断水時の給水作業の教訓などから、高層の貯水槽などに水をポンプでくみ上げられる加圧式給水車を増やすべきとの意見が複数の市町村から寄せられたため、県は早期に着手できる事業として、補助制度の検討を決めた。

加圧式給水車の導入により、人工透析を行う医療機関の貯水槽への給水など、断水時に緊急性の高い給水の迅速化が期待される他、給水場所に車両がとどまる必要がなく、より効率的に給水作業ができるメリットもある。関連予算の県議会への提案に向け、県は準備を進める。

会議では、各ライフラインの課題について、中長期計画で整備するもの、ソフト対策、国への制度要望が必要なものなどに分けて対策を記した報告書を承認。「県の安全安心なインフラ構築のため、今後も不断の点検と整備について相互に連携・協力する」との宣言をまとめた。

細川危機管理監は「実態に即した正直な点検結果に向き合い、対策を整理できた。今後も努力を続けたい」と話した。

宣言を読み上げる細川県危機管理監(奥)

宣言を読み上げる細川県危機管理監(奥)

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