「不透明、納得できず」 県議会IR対策特別委

和歌山県が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)の区域整備計画案について、県議会IR対策特別委員会は7日午後、県民への説明会やパブリックコメントの実施を了承した。資金調達計画の内容を巡って議論が紛糾し、藤山将材委員長は「不透明な部分が多く、委員会として納得できるものではない」との談話を発表したが、国への計画申請期限が4月28日に迫る中、手続きの進展を優先する判断となった。

委員会終了後、報道関係者に公表された計画案によると、IR事業を運営する特別目的会社(SPC)は「和歌山IR㈱(仮称)」。中核株主として、県の公募で選ばれたクレアベストニームベンチャーズと親会社のクレアベストグループ(カナダ)、アメリカのカジノ大手、シーザーズ・エンターテインメントの名前が記されている。

初期投資の4700億円のうち、約3割の1450億円を出資、約7割の3250億円を借り入れでまかなう。出資のうちクレアベスト2社が55%、シーザーズが5%を担い、残る40%は、ゼネコンの西松建設(東京都)など10社程度の少数株主が出資。借り入れ分は大手投資銀行「クレディ・スイス」が主幹事行となって調達の取りまとめを行うとしている。

しかし、具体的な調達方法や相手先などは示されず、公表を求める県議らの質問にも、クレアベストの担当者は、相手方の意向などを理由に「現時点で開示できない」などの答弁を繰り返した。

特別委の質疑は進展が見られないまま約6時間に及んだが、「これ以上、県民への公聴会やパブリックコメントを先送りすることは委員会として本意ではない」(藤山委員長)とし、次回の特別委で裏付けのある資金計画を示すことを求めて終了した。

県は計画案へのパブリックコメントを9日から3月10日まで実施する。

案は県ホームページや県庁情報公開コーナー、各振興局企画産業課などで閲覧できる。意見の提出は郵送、ファクス、メールで県IR推進室(〒640―8585住所記載不要、FAX073・422・1812、メールe0201001@pref.wakayama.lg.jp)へ。

当初は県内14カ所で予定していた公聴会(住民説明会)は、3月上旬ごろから実施するが、新型コロナウイルスの感染状況などを理由に、最低3カ所程度に縮小される見通し。計画案への県民の理解を促すため、県は説明動画を作成し、ホームページに掲載する予定。

6時間にわたり紛糾が続いた県議会IR対策特別委員会

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